粒々辛苦

全て 名詞
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  • 然し彼等の善良さや孝養ぶりを見るにつけて、粒々辛苦の数万円を、かうして手もなく持つてゆかれてしまふのだ。 坂口安吾『吹雪物語』より引用
  • いつかは征服されるはずになっているものが、逆に征服したり、そうかと思うと、せっかくいままで人間の福祉のために粒々辛苦りゅうりゅうしんくをなめてきたものが、逆にこんどは、まるで意味ないことのために、またそろ苦労をかさねなければならないようなことも生じてきたりする。 ハーン/平井呈一訳『東の国から』より引用
  • 素人しろうと下宿をして働いている、母の粒々辛苦りゅうりゅうしんくの金とおもえば居ても立ってもおられず、明朝、だ皆の起きないうちにけだし、ゴルフ場まで探しに行こうと思いました。 田中英光『オリンポスの果実』より引用
  • 最近では地図はすべて空中写真を用いて測量され、等高線も機械で自動的に描かれるようになって、人跡未踏の深山を粒々辛苦、一歩一歩歩きながら地図を描いていったいわゆる測板測量は過去のものとなったからである。 堀淳一『物理の風景―数理物理学者の見た世界』より引用
  • 日本じゅうの農村に、様々の形で、自主的な農民の組織が出来て、粒々辛苦の収穫物を、怪しげな官制農業会の手を経ずに、直接消費者に渡そうとしているのは当然である。 宮本百合子『私たちの建設』より引用
  • 四匹の仔猫たちも、母親の如くひと跳びに、というわけには行かなかったが、ブロック塀のあちこちの隙間すきまを手がかり足がかりに粒々辛苦りゆうりゆうしんくの末、塀の頂上に到達とうたつした。 井上ひさし『ドン松五郎の生活』より引用
  • ふつうの農民が耕作するから、収穫時に流賊や軍閥に襲われて、粒々辛苦の作物を奪われてしまうのである。 陳舜臣『秘本三国志 03 (三)』より引用
  • 他人が粒々辛苦しておこした会社を、将来性ありと見れば札束をちらつかせ、非情なる手段を弄して乗っ取っている。 小堺昭三『明治の怪物経営者たち(1)』より引用
  • 長年の粒々辛苦、自分の運命が一瞬で決る。 河口俊彦『人生の棋譜 この一局』より引用
  • 高範の偉さは、彼が粒々辛苦して巨財をつんだことよりも、むしろこのように賢い婦人から忠実に仕えられている、彼の人柄にあるのかもしれなかった。 中山義秀『碑・テニヤンの末日』より引用
  • 私はあの一ページに目がゆくとき、ひとり扇谷氏だけでなく、およそたくさんな新聞雜誌をとほして、その一ページ一ページの蔭に粒々辛苦している現代ジヤーナリストのなみたいていでない苦勞ばなしや苦心をあはせて感じてくるのであります。 吉川英治『折々の記』より引用
  • 農夫が粒々辛苦する以上の辛苦であった。 永井隆『ロザリオの鎖』より引用
  • 粒々辛苦の早起きに成功して、サンジロー運転のレンタ・カーに乗り込んだのが、正九時ジャストである。 江國滋『アメリカ阿呆旅行わん・つう・すりー』より引用
  • それでいて彼が決してやすきについたのでないことは、彼の全作品にただよう禁欲主義のにおいと、一作一作が時に即興の色合いをおびながら、実は粒々辛苦の結果であるのを見ればわかる。 岸田国士『「にんじん」とルナアルについて』より引用
  • わしが、身障者やガン患者を救おうと思って、粒々辛苦した研究を、そんな、〝完全ロボット化人間〟の製作に応用されてたまるか! 小松左京『アメリカの壁』より引用
  • 粒々辛苦して、芭蕉は俳諧の宗匠の地位を得た。 井本農一『芭蕉=その人生と芸術』より引用
  • 苦難時代は終り、粒々辛苦、財産を築き上げたとはいえ、今でもやはり農家では、主人と主婦とが、二人とも一番早く起き出すのである。 ドーデ/村上菊一郎訳『風車小屋便り』より引用
  • グラウンド全体を地下に沈めるという粒々辛苦の工法に加えて、莫大な建設費を投じてまで、そんな奇妙な球場をつくる気になったということは、とりもなおさず、いかに雨が多いかという証左にほかならない。 江國滋『アメリカ阿呆旅行わん・つう・すりー』より引用
  • 戦後キク女が粒々辛苦のすえ、ここまで築きあげた店で、きれい好きな彼女の気性を反映して、万事が小ぎれいに、清潔にできていた。 横溝正史『スペードの女王 v0.9』より引用
  • わかりきつたその介抱が、かうして手もなく盗まれてしまふ粒々辛苦の富のために、又失はれた一生のために、益々せつない憤りに変形せざるを得ないらしい。 坂口安吾『吹雪物語』より引用
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