立居フルマイ
全て
名詞
18 の例文
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ある晩、市長の家へ行くと、マリアは妙に物思いに沈んでいるように思われた。その表情にも立居振舞にも、苦しんでいる様子がはっきり現われていた。私は彼女とその叔母に本を読んで聞かせていたが、そのあいだも彼女は上の空のように見えた。
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表向人の許嫁を盗んだほどの罪は犯さぬつもりであるが、宗近君の心は聞かんでも知れている。露骨な人の立居振舞の折々にも、気のあるところはそれと推測が出来る。それを裏から壊しに掛ったとまでは行かぬにしても、事実は宗近君の望を、われ故に、永久に鎖した訳になる。
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ただそういうことの繰返しが於継はいかにもまめなのである。しかも立居振舞のすべてに神経がゆきとどき、舞のように科が美しいのだ。加恵には一日でもそんな真似はできるものではなかった。
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家にいた猫の話に戻ると、思春期になって二度失恋した。これも、どうやら猫としての求愛の立居振舞が分らなかったせいのような気がする。このことがあって、かなり世をはかなんでいる様子だったとき、庭に入ってきた近所の犬に親しく近寄って襲われた。
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家にいるうちはひっきりなしに煙草を吸ったし、コーヒーも飲んだし、自家製のラーメンも食った。右腕と右膝に脱力感はあったが、立居振舞にはなんの不自由もなかった。菱田医院へいく途中の交差点では、信号が変りかけていたので小走りに急いだりした。
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もつとも女自身が必ずしもさういふ魂胆を一人残らず知つてゐて男に働きかけるわけではない。たいがいの女は何にも知らずに無心に立居振舞ふのである。だがその無心の振舞ひのなかに、もう、これだけの種が仕込まれてゐるのだ。
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よく思われようとする熱心から、ルイーズは先生がクラスの生徒たちに出すすべての質問に答えようとした。彼女は元気のいい立居ふるまいをやり、彼女の眼はかがやいた。それにクラスの他の者が答えのできないような質問に答えた場合には彼女は幸福にほほえんだ。
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ドリスはフランス語を旨く話す。立居振舞は立派な上流の婦人であって、その底には人を馬鹿にした、大胆な行を隠している。ピアノを上手に弾いて、クプレエを歌う。
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かわいそうに彼女のほうは、前夜憲兵たちに衛兵所から連れ去られたとき囚人の口もとにただよっていたいかにも上品な微笑を、たとい忘れようと思っても忘れられなかったろう。おそらく彼女は自分の立居振舞に精一杯気をくばっていたのだろうが、それでも鳥部屋の窓に近づいたときには目に見えて顔が赤くなった。窓の鉄格子にぴったりとはりついていたファブリツィオが最初に思いついたことは、その鉄格子を軽く手でたたくという子供じみた真似をすることだった。
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詩人というのは、どういう面構えをしどういう気質を備えていれば一番その名にふさわしいのか、私はよく知らない。またその立居振舞も何を以て範とするか、容易にさだめがたい。
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そこにはきっと父親というひとの上品さが投影されているのだろうと思うと、エマには驚きでもあり、感激でもあった。だがミスター・マーティンのほうは、立居ふるまいのなんたるかさえ知らない。ウッドハウスのお嬢様を待たせてはいけないということで、ふたりは二、三分話し、ハリエットはにこやかに笑いながら、ちょっと興奮した様子で走ってきた。
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それでも代議士当時に比べてその外出の頻度はずっと減っていたから、ここしばらくいささか人まかせにしていた診療と病院の経営にふたたび身を入れるようになったのである。彼の立居ふるまいは以前どおりいきいきとしていた。雄弁というのではないが、その話しぶりは人をそらさなかった。
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暮方から客扱いを見ていると、全然ズブの素人で、型に外れているのが面白い。普通の素人娘のうちでも、この娘などは特別立居振舞の投げやりで粗暴な方であるらしい。然し、女のやさしさやタシナミに欠けるようでありながら、巧まざる色気がこもっていて、申さばシンちゃんの言う如くチャーミングなところがある。
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ターヴィドロップ老人は卒中を病んでおりますが、相変らず礼儀作法のお手本を示しています。昔ながらの立居振舞で自分も得意ですし、はたからも昔のままの取扱いを受けています。
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店名を〝ラシーヌ〟としたのは、おそらくその名残りだろう。役者志望と言えば、この人は立居ふるまいが形になっている。客の前で肉を焼いてみせることにだって、なにほどかの演劇的な要素が含まれているだろう。
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初めて大人の寸法の晴れ着を着るが、肩上げを必ずする。この時期にそろえた着物をおりあるごとに着せて、着物になじませ自然に立居振舞を身につけさせるはじめとする。また、半紙に自分が大切にしている漢字一文字を毛筆でしたため供え、ご祈祷を受けて、最後にお守り・お供物を頂いて帰り親に感謝を述べる。
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パイは浦野たちの余りな取越苦労ぶりに同情したのか、二度目の冒険旅行に出かけようとする気配はみせなかった。鷹揚な立居振舞で、彼なりに飼猫の境遇の安逸さを愉しんでいるように見えた。能里子は自由研修も終り、毎日、家でぶらぶらしていた。
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