突き刺すような視線
17 の例文
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ヴァンスの突き刺すような視線をまともに見返す術もないかのようである。
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やはりジーニは何も言わなかったが、今度は突き刺すような視線も向けられなかった。リウイは心のなかでつぶやくと、瓦礫を除く作業を再開した。
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この電話の主が先刻の、突き刺すような視線の主にちがいない。そして、彼が、大町駅で自分をつけていた人間である。
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強い民族意識と貧困のために、教育をうけず、いつまでたっても英語が話せない。顔なじみのケンが入っていっても、突き刺すような視線が射かけられてくる。彼らにとって刑事は決して相和することのない敵なのである。
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氷の剣を突き刺すような視線だった。
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町を通り抜けながら、文四郎はすれちがうひとが足をとめ、軒下に立っている人びとが一語も出さず、しんとして自分を見送るのを痛いほどに感じ取った。突き刺すような視線は、文四郎の疲れを倍加させた。うつむいて、よろめきながら文四郎は車をひいた。
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沿道の暗がりに身を潜めるようにして、頭から黒いマントを被った男が立っていた。突き刺すような視線は、その男のものだった。瞬間、シュリルはその男が、数か月前の、仮面舞踏会の時の男であると気がついた。
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牛尾修二は、そらきたと、思った。とたんに馬場秋子が、突き刺すような視線を今度は私立探偵に向けた。
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「あんたたちだけかい」 出てきた男が、警戒感を漂わせて問いかける。突き刺すような視線を感じて、門のほうを見ると、見張り穴からいくつも雷発銃の銃口が突き出されている。なにかあれば、即座に戦う用意があるということだ。
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「一般的に言えば、こいつは男の仕事だぜ」 リウイはいちおう、そう言ってみた。だが、赤毛の女戦士からの返事はなく、ただ突き刺すような視線が返ってきただけだった。誇りを傷つけられたと、思ったのかもしれない。
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それをきっかけに、麻痺していた感情が次々と再起動を始める。達也は背中に突き刺すような視線を感じた。真後ろからブリザードじみた冷たい怒気が送られてきている。
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「あなたは、あなたがもしも侯爵家をお継ぎになるようなことがございましても、決して今夜のこのお約束をお忘れにはなりますまいね」 そう言って彼女は、戸惑いしているような男の顔を、まるで突き刺すような視線でながめていた。そのはげしい眼の中には、何かしら、蒼白い、ゆがんだ熱情が、炎のように燃えあがっているのだった。
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スペードはイエロー・グレーの目の突き刺すような視線を彼女の顔から動かさずに、シガレットを巻きはじめた。そのうしろでは、ストーブの上のコーヒー沸しが煮立っていた。
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到着して王弁も驚いたのだが、酒家では美しい衣を身に着け、異国情緒あふれる音律を奏でている者たちにはふさわしくない、じめじめと湿っぽくそして薄暗い建物であった。あたりには異臭が漂い、掘っ立て小屋のような家屋からはじろじろと突き刺すような視線が飛んでくる。王弁もこのあたりに足を踏み入れたことはなく、居心地が悪い。
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そのなかに、土屋裕司や松田尚人の顔も混じっていたが、二人の顔はやや戸惑ったような表情を浮かべていた。そして、山内厚子の突き刺すような視線もあった。千鶴はきびすを返すと、早足で深沢家を離れた。
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何も知らないで乗っていた一般の来客は、何となく背筋のあたりに氷でも押しこまれたようにぞくりとするといわれている。入りたての巡査などは、書類を届けるために捜一に使いに出されて、一歩室内に入ったとたん、もう周りの突き刺すような視線に、足が前に出なくなり、気がついてみたら、膝小僧どうしが、自然にぶつかり、何か用件をいおうと思っても、歯の根が合わなくなって、物もいえなくなるそうだ。そんな恐しい捜一の大部屋に、鬼の荒くれ男どもに交って、各係に一人か二人ずつの婦人警官がいる。
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