空々しか
全て
形容詞
18 の例文
(0.00 秒)
-
謝る気なんかさらさらないんだけれど、社会的に謝らなくてはならない立場に追い込まれたものだから、仕方なく謝罪の形式を踏んでいるという感じが見え見え。こんな謝られ方して納得する者がいるんだろうかと思うぐらい空々しい。
...
-
自分はそれを明かに自覚した。それからその空々しさがよく相手の頭に映っているという事も自覚した。けれどもどうする訳にも行かなかった。
...
-
中本も、それなりに気に病んでいた。この計画の空々しさが、もろに剥き出しになっている部分だったからだ。刑事が容疑者に嘘を聞かせることは、別段珍しくも何ともない。
...
-
何を見ても虚しかった。目の前にひろがるビル群も、すべてが空々しい映像を見ているようだ。ちょうど半年前、こうやってミッド・タウンのホテルにいたときは、芹沢は明石との再会が嬉しくてならなかった。
...
-
ぼくは慰めの言葉をいくつか思い浮かべてみた。だがどれもつまらなくて空々しく思えたので、口には出さずにおいた。「おやすみ」とだけ、ぼくはいった。
...
-
-
北麿は据え置きのカンテラの芯に火をつけ、それを二階へと持って上がった。二階も空っぽの棚が並ぶだけで、他に何も無い空間が空々しく広がっている。舞は窓の留め金を外して鉄の扉を開いた。
...
-
ああお前は俺にとって、黄金よりも珠よりももっともっと可憐く思われる時もあれば、斬り殺しても飽き足りないほど憎く思われる時もある。今のように空々しく、俺を瞞そうとする時など、俺はお前を殺したくなる。
...
-
その不安、その焦燥は、今蛍子が感じているものの何十倍、いや、何千倍であるに違いない。そう感じたからこそ、空々しい慰めの言葉などかえって口にできなかった。
...
-
村長はその私の顔に接すると、更にもう一辺空々しい嗤ひ声を挙げた。
-
提灯をつけ終わると煙草を一本吸い、大海は母親の命日や戒名が書かれた墓石の裏へ廻ろうとした。しかし、なんとなく空々しいような気になって途中でやめてしまった。日々の生活で、殆ど思い出すこともないのに、墓に来たからといって急に感傷的な気分になるのが、なんだかとても気恥しかった。
...
-
自身のばかげた感傷主義の犠牲にすぎないと思えたからだ。世間並みに葬式には出たものの、僕にとっては空々しい気持ちだった。だが、町の大通りを歩いていると、ちょっと、少年時代のことを思い出した。
...
-
私は古い寺院に詣でて、怪異な、あるいは美しい、仏像群の間をさまようのが好きである。そこでは私という人間が、何と空々しいたよりない存在に見えることであろう。あの仏像達こそ、生き物ではないかも知れぬが、少くとも、我々人間に比べて、ずっとずっと本当のものであるという気がするのだ。
...
-
嘘だ、嘘だ。これが真実なら、宗教も真赤な偽りだし、芸術も空々しい人間の偽善だ。
...
-
でもなんだか健一にはそんな提案もどこか空々しく思えてしまう。「そうだね」 だから健一は特に反論もせず、父親に続いた。
...
-
嫂に対して何とか説明しなければならない位地に追いつめられた彼女は、こう云いながら腹の中でなおの事その嫂を憎んだ。彼女から見たその時のお延ほど、空々しいまたずうずうしい女はなかった。「ええ良人は強情よ」と答えたお延はすぐ夫の方を向いた。
...
-
元より責める気はない。彼女を信じている、などという空々しい感情も抱いていない。そこまで付き合いが浅いわけでも短いわけでもなかった。
...
-
非の打ち所の無い物腰だったが、老紳士の態度は何処か空々しかった。