眺め入つて

11 の用例 (0.00 秒)
  • 上つてゆくと、そこには欄干にもたれて父と母を除いた家族中の者が皆黙つて火事を眺め入つてゐた。 久米正雄『父の死』より引用
  • 父は乙女の赤い帶の見えなくなつた跡を、立ち止つてまで飽かず眺め入つてゐた。 上司小剣『父の婚礼』より引用
  • と、さほど大きくもない額の前にしやがんで眺め入つてゐる。 長谷川時雨『裸女の画』より引用
  • 子供のやうにあまり長い間仰向いて雲のゆくへにのみ眺め入つてゐたので、首筋が硬ばつて痛くなつて来た。 薄田泣菫『独楽園』より引用
  • 蓮太郎は柱に倚凭よりかゝり乍ら、何の文字とも象徴しるしとも解らないやうなものが土の上に画かれるのを眺め入つて居た。 島崎藤村『破戒』より引用
  • 少女は漸く、気に入つた開花を見付けて、ぢつと眺め入つてゐた。 岡本かの子『小町の芍薬』より引用
  • 丑松は其を承知して居るから、格別気にも留めないで、年貢の準備したく多忙いそがしい人々の光景ありさまを眺め入つて居た。 島崎藤村『破戒』より引用
  • 私は次第に彼の崇厳な顔面に惑かるゝ感で、眺め入つてゐた。 牧野信一『病状』より引用
  • そして又、私は、狼狽を隠すためではあるまいけれど、様々な別なことを考へやうとして、結局何事も思ひつかずに、ボンヤリと赤いものに眺め入つてゐるのであつた。 坂口安吾『蝉』より引用
  • 然し京都では、たとへば一人の人が河原に仕事をしてゐて、五六の人が惘然ばうぜんとそれを眺め入つて居る所も、油繪のやうには見えないで、却つて古い縁起ものの繪卷物の一部を仕切つたやうに見えるのである。 木下杢太郎『京阪聞見録』より引用
  • 暫く前から私たちは、釣燭台の下で叫び声をあげながらシュトラウスの|魔宴《サ バ ト》めいた楽弓ゆみのまにまに揺れ動く、無数の仮面のどよめくモザイクに、|塵埃《ほ こ り》を透して、眺め入つてゐた。 リラダン『殘酷物語』より引用