目の廻る
29 の例文
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雑誌社に原稿を届けるとか、買物に行くとか、私はたびたび上京することがあった。そんな場合、私はどんなに目の廻るような忙しい思いをすることか。朝御はんを食べてすぐ飛び出しても、往復の電車に五時間はとられてしまう。
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車輸はがらがら云う。車全体はわたくしどもを目の廻るようにゆすっていました。ですから一しょう懸命に「けっこう、けーっーこーう」とどならなくてはなりませんでした。
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倫敦屋にとっては目の廻るようなことばかりだったようだ。
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けれども、毎日一度は看護婦か母親によって起き上ることをさせられた。下から見た部屋を起き上ってたてから見たすべての異り方や、目の廻るやうな不思議さは、次第々々になくなって来た。そして開け放した扉の前を通る人などを見る為めに、自分から起き上る事を母に頼むやうになった。
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さて、諸般の準備の進行状態からみて、家斉の葬儀は、大体、二月下旬には出せる見通しがついた。目の廻るように忙しい水野忠邦が、或る日、将軍家慶に面謁を求めた。
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私は死者に説得されて再び振り出しにたち戻ってきた。一九七五年の夏、私の家族はアメリカ東部の、ニューヨークから車で一時間ほど隔った大学町に暮らしていて、目の廻るような忙しさに追われていた。私の夫はアメリカ史の学徒であり、一年前からイェール大学で研究生活を送っていた。
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クリスマスから正月を控えて、どの玩具屋も目の廻るような忙しい時期だよ。土曜といっても定時に帰ることなんか出来やしない。
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台所のわきの八畳にいるのはこれは堅気の洋服屋の職人一家で、身重のかみさんと学校前の女の子が二人、旦那は虚弱体質の見本みたいな人で、色が白くてやせていて、いつでもテリヤの犬みたいにびくびくしている感じ。目の廻るような度の強い金縁の眼鏡をかけて、蚊の鳴くほどのききとりにくい小さな声で話す。いじけた見てくれの割にびっくりするような胸毛がはえているのも気味が悪い。
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荒っぽい測量主任は、新入りの緋紗江を男と同じょうに容赦なくこき使った。目の廻るような日々が続き、獅々吼谷の風光を楽しむなどという暇はなかった。聞くところによると、ダムサイトの住民に、強いダム建設反対運動が起こっていた。
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船は不思議な力で抑留せられたように、沈んで行こうとする半途で、恐ろしく大きい、限りなく深い漏斗の内面の中間に引っ掛かっているのでございます。もしこの漏斗の壁が目の廻るほどの速度で、動いていなかったら、この漏斗の壁は、磨き立った黒檀の板で張ってあるかとも思われそうなくらい平らなものでございます。その平らな壁面が気味の悪い、目映い光を反射しております。
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みんな舞台の脇で、飛脚から侍になったり、雲助になったり、娘から茶店の婆さんになったりするうち、かつらを間違えたりしても、当人は夢中でやっているから気がつかないが、お客はドッと笑う。主役の早がわりというのはよくあるが、主役以外の全員が早がわりという目の廻るいそがしさだったという。
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彼女は益々安心して益々過敏になりました。斯う云う時の癖で暗い所に非常な不安を感じ食堂の大窓に掛けられてある薄樺の地に海老茶、藍、緑で細かく沢山な花模様に成って居るカーテンに目の廻る様な気持になりました。
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書斎にいると舞台が恋しくなり、劇場にいると机へ帰りたくなる、というような気分であった。研究所で教える、戯曲の翻訳をする、演出をする、演技もする、目の廻るような毎日であった。そうこうしている内に、だんだん、役者として使われる度数が多くなって来た。
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復員したのがこの七月、帰って見れば親父が死んでいつの間にか一家の長となっている。その跡片づけの煩雑さ、忙しさは目の廻るようだった。それでも菜園の手入れをしている時など、木蔭を渡る風のささやきに、ふと、山を想い出すこともあったが、現在の社会情勢からして、家の事情からしても、到底山へは行けるとも思えなかった。
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そしてそれが全くの寃罪でもなかったらしい。暮に押し詰まって、毎晩のように忘年会の大一座があって、女中達は目の廻るように忙しい頃の事であった。或る晩例の目刺の一疋になって寝ているお金が、夜なかにふいと目を醒ました。
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船は不思議な力で抑留せられたやうに、沈んで行かうとする半途で、恐ろしく大きい、限りなく深い漏斗の内面の中間に引つ掛かつてゐるのでございます。若しこの漏斗の壁が目の廻るほどの速度で、動いてゐなかつたら、この漏斗の壁は、磨き立つた黒檀の板で張つてあるかとも思はれさうな位平らなものでございます。その平らな壁面が気味の悪い、目映い光を反射してをります。
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斯う西洋の圧迫を受けてゐる国民は、頭に余裕がないから、碌な仕事は出来ない。悉く切り詰めた教育で、さうして目の廻る程こき使はれるから、揃つて神経衰弱になつちまふ。話をして見給へ大抵は馬鹿だから。
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