疳高い
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形容詞
57 の例文
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二階の窓が開いて、何だか白い着物を着た女の人らしいものが、両手を拡げて救いを求めているようです。「どこからあの家へ行けるんだろう」と兄が疳高い声で叫びました。「ほら、あすこに門のようなものが見えていますよ」と私は道をすこし上った坂の途中に鉄の格子の見えるのを指しました。
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もしこの顔に、年配から来る自然の落ちつきと、どこか我儘な子供を思はせるやうな疳の強さといふ風なものがなかつたら、その女性的な顔立ちはきつと見る人に一種の悪感を覚えさせたにちがひない。それに彼の声は細い疳高い響きを持つてゐた。
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志津を抱きかかえようとして、影のように手ごたえがないのを知った。次に大岡越前が姿を見せ、あの疳高い女のような声で言った。
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白昼の大きな沈黙の、何という恐ろしさ!突然遠くから或る鈍い物音と、続いて、短い・疳高い笑声とが聞えた。ゾッと悪寒が背を走った。
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主人の名を呼ぶ署長の声はだんだん疳高くなり、それと共に顔色が青くなっていった。
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このあたりには今も明治時代の異国情調が漂っていて、ときによると彼自身が古い錦絵の人物であるような錯覚さえ起るのであった。通りかかった火の番小屋の中から、疳高い浪花節の放送が洩れてきた。声はたいへん歪んでいるけれど、正しく蒼竜斎膝丸の「乃木将軍墓参の旅」である。
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腰を進めるにつれて、女の手はそこから離れ、男の胴に回された。両腕が男の体を締めあげ、疳高い声を放って、女の体が弾んだ。その声を消すために口を唇でおおっていた。
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貌がゆがみ、鼻孔が膨らみ、薄く開いた唇から熱い息が洩れるが、女のその貌もまた美しいのだ。突然その貌がゆがみ、疳高い声が迸ると同時に、お若の体もまた嫋やかに震えていた。体が強直しやがて弛緩する。
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玄関には門松も七五三縄も飾られていなかった。俺がガラス戸を叩くと、中からへんに疳高い声が聞こえて、それからずいぶん長い時間がかかって戸口に六十ぐらいの痩せた女が顔を覗かせた。赤く染めた髪に太めのカーラーを巻きつけ、浅黒い皺だらけの顔に厚く化粧をして、ピンク色のネグリジェの上にやはりピンク色のキルティングガウンを着込んでいた。
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「大丈夫です、このままやりましょう」 高橋が疳高い声で答えた。友永が狙っていた射点に、橋本の隊が占位することになってしまった。
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ぼくはどきんとした。「何を怒っているんだい、木田さん」 横合から、疳高い声が聞えた。
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男の子は絶叫するような疳高い声で答えた。
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これは私設夜警が立てる音で、時間をきめて一定の場所を巡回し、その土地の持主に誰かが番をしつつあることを知らせるために、カチン カチンやるのである。また昼夜を問わず、疳高い、哀れっぽい調子の笛を聞くことがある。この音は盲目の男女が彼等の職業であるところの按摩を広告して歩くものである。
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お蝶も、皆なと一処になつて三味線を引いてゐた。その時、隣室に寝かせてあつた彼の三才の子供が疳高く、怯えた泣声を挙げた。
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読経が始まった。徳念のやや疳高い声が本堂の空気を制圧していた。経を読む主役は徳念であって、他の僧はすべて、脇僧としてそこに居並んでいるようにさえ見えた。
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「君は行けばいいだけさ」と僕が云い、「恰好なんて問題じゃない」と続けたときだった。突然子供の疳高い声が飛び込んできた。
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つづいて、庭で人声がきこえた。コメリオ氏が、例の神経質な疳高い声で言っているのだ。
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