男々しい

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  • 男々しい、ということを源氏は美徳としてここでは使っているらしい。 田辺聖子『源氏紙風船』より引用
  • かく御心男々しき母様とても、さすがに尽きぬ御うらみは思しかねたまひてや。 清水紫琴『葛のうら葉』より引用
  • 彼はもっと男々おおしい音楽のほうを好んではいたけれども、聞こえてくるその魂の森と泉とのささやきに恍惚こうこつとなっていた。 ロラン・ロマン『ジャン・クリストフ』より引用
  • 頭殿にはこんどの合戦に伴った若武者の、男々しい子たちのほかに、まだ母の膝も離れぬ幼いのが、よそのやかたに三人もいた。 吉川英治『源頼朝(一)』より引用
  • 最初焔の砦を消したジーグフリードを見て、その男々しさに秘かに胸をときめかした。 小栗虫太郎『潜航艇「鷹の城」』より引用
  • 偵察兵の帰りを待つ長羅ながらの顔は、興奮と熱意のために、再び以前のように男々おおしくたくましく輝き出した。 横光利一『日輪』より引用
  • 戦争を仕かけた男が、自分の息子をその戦争で失っても、じっと耐えて、なおかつ男々しく戦いつづけた例はいくらでもある。 佐野洋子『私の猫たち許してほしい』より引用
  • こんにちの世界はこの両者相俟あいまって始めて円満なるを得るものであるが、そとに対して常にわれわれの眼を喜ばせるものは、男々おおしき男性的道徳である。 新渡戸稲造『自警録』より引用
  • そして壮年の内大臣となった彼は、いまも「男々し」と形容される心情の人である。 田辺聖子『源氏紙風船』より引用
  • そんなことは政治に比べると重要なことではないと考えるのは、内大臣風な「男々しくあざやぎたる」心の人々である。 田辺聖子『源氏紙風船』より引用
  • その悲しみはどこまでも自己中心的なものであって「男々しくあざやぎたる御心」には、他人の悲しみもわが悲しみもひとしく海のようにみこんで、人の世に受ける業苦として堪えようという心は生れないのである。 田辺聖子『源氏紙風船』より引用
  • しかし彼女は、世の中や人間について無知ではあったが、生まれつき人の魂を見てとる直覚力をそなえ、不幸のためにそれがなお鋭敏になされていたので、劇場で隣り合った不行儀な多少狂気じみたその青年のうちに、自分と同じような廉潔さと一種の男々おおしい善良さとを見てとった。 ロラン・ロマン『ジャン・クリストフ』より引用
  • そうした彼女は、社会運動に関係しながら、バーの女給をしたり、今では啓文社の校正部に勤めたりして、一人で男々しく働いてる彼女だったが、その彼女がいつしか自分で自分の言葉に涙ぐんで、中江の肩により縋り、じっと畳の上を見つめて、唇をかみしめてしまったのである。 豊島与志雄『立枯れ』より引用
  • 汗のにおいをまじえた体臭が発して、からだをつつんで来たのも、なにかたくましく、なにか男々おおしいものがよみがえって来た思いであった。 海音寺潮五郎『平将門 上巻』より引用
  • ただ数人の天才のみが、おのれの思想の自由な天地において、男々おおしい孤立の危機を幾度も経過した後に、それから解脱することを得る。 ロラン・ロマン『ジャン・クリストフ』より引用
  • 葉子の母が、どこか重々しくって男々おおしい風采ふうさいをしていたのに引きかえ、叔母は髪の毛の薄い、どこまでも貧相に見える女だった。 有島武郎『或る女』より引用
  • 心に癖をもたぬ男、ねじけたところのない男、しゆうしない、清廉な、直情な性格を、「男々し」と認識していたのではないだろうか、してみると、源氏は自分の性格も「男々し」くはないことを分別していたのかもしれない。 田辺聖子『源氏紙風船』より引用
  • しかし、彼女の頭に映っていたかつての彼の男々おおしく美しかったあの顔は、今は拡まったくぼみの底に眼を沈ませ、ひげは突起したおとがいおおって縮まり、そうして、彼の両頬は餓えた鹿のように細まって落ちていた。 横光利一『日輪』より引用
  • こんな時の、名士のお見送りは、ぞっとしない仕事だったが、デュボス中尉は男々おおしくつとめを果していた。 クリスティ/古賀照一訳『オリエント急行殺人事件』より引用
  • 万一その男々おおしい、そして神秘な傷痕を見たりしたら、たださえすでに、強く結ばれすぎているきずなが、一層固くなるかもしれないとこわかった。 ケッセル/堀口大學訳『昼顔』より引用