甲板員たち
4 の例文
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甲板員たちが叫びながら指さす左舷の海面に、真っ黒な壁がそそり立っていた。巨大な波がすぐそこに迫っていた。
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またたく間に砕け始めた波頭が、のめりながら逆巻き、一部は砕けて水煙となり、寄せ集まった泡が濃い白色の筋を引いて風下に吹き流される。格納庫に駆け込む者、転落防止柵にすがりつく者、あちこちで甲板員たちが逃げ惑う。
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十五人程度の乗組員の小型漁船は、二十杯前後出入しており、ベティさんが特に親しくしているのはそのうちのごく限られた少数の男たちであった。下船するたびに、ジャパニーズワイフの家庭にまで入りこめるのは、船長、機関長、水夫長級で、甲板員たちはその招きに与かることはあまりなかった。真岡船長は、肩幅の広い、がっちりした脚の短い北九州の男だった。
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風と波、機関の音だけが響き渡る寂しい船出だった。無遠慮な陽光が去る者、残る者に等しく降り注ぎ、肩を寄せあってランチの甲板にうずくまる男たちと、黙然と立ち尽くす〈伊507〉の甲板員たちを照らし出す。蔑むことも、開き直ることもできず、ただ顔を背けあうしかない両者の空気を感じ取った絹見は、機関始動を命じるべく伝声管に顔を寄せた。
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