生ぬるい
全て
形容詞
453 の用例
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光秀はそう思ったが、その常識的な考え方が凡庸なのである。
革命という非常の行動は、生ぬるい考え方では達成できるものではない。
玉石ともに砕く。
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池宮彰一郎『本能寺(下)』より引用
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人形を使うことも禁止された。
おかげで練習内容はかなり生ぬるい、形式的なものに変わってしまった。
青豆としてはもちろん面白くなかったし、メンバーからも不満の声があがったが、雇用されている身としてはいかんともしがたい。
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村上春樹『1Q84 BOOK1』より引用
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日本の情報機関の甘さだな。
ソ連の国内に対する管理体制というのはそんな生ぬるいもんじゃない。
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半村良『ラヴェンダーの丘』より引用
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小説が小説たるためには、観照の形式上で、詩から遠く離れるほど好いのである。
小説にして詩であるものは、一種の「生ぬるい文学」にすぎないだろう。
しかも精神に於て見れば、真の小説には詩的精神の高調したものが無ければならない。
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萩原朔太郎『詩の原理』より引用
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邦彦は気付いてポットを取りあげ、流しに向けて傾けて見た。
ほとんど空で、しかも指で触れて見るとその湯は生ぬるくなっていた。
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半村良『魔女伝説』より引用
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富と権力を握り、社会を支配することに慣れて来た老人たちの間で、今くらい危機感が盛りあがっている時代はないのだ。
彼らは大正や昭和初期生まれの世代を、生ぬるい中間世代と見ている。
そして戦後生まれを敵視している。
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半村良『回転扉』より引用
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私はそう言ってみたが、彼はそんな生ぬるい提案に耳を藉しはしなかった。
私は仕方なく、子供の使い同然に、その手紙を合評会の開かれる築地の旅館〈鶴よし〉に持って行って、石井仁に渡した。
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高井有一『立原正秋』より引用
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あの男は金市場などという生ぬるい場所で満足できる人間ではなかったようだ。
いつのことかよく判らんが、とにかくいつのまにか児島金属から離れてしまい、戦後はまず闇物資、そして少し世の中が落着いて来ると株式市場で暴れまわった。
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半村良『闇の中の黄金』より引用
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高らかに笑いながら、すでに中間は生ぬるい風に乗って走り出していた。
寝ぼけまなこのなつみさんは、中間が怒鳴りながら事情を説明しても、ただボンヤリと僕達を見つめるばかりだった。
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大槻ケンヂ『新興宗教オモイデ教』より引用
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「生死の問題ですもの」指の関節が白くなるほど、両手を握りしめている。
まだ口もつけられていないビールは、すでに日なたで生ぬるくなっていた。
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コードウェイナー・スミス『鼠と竜のゲーム』より引用
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だが、まだまだ生ぬるい。
何が生ぬるいのかよくわからないが、生ぬるいものは生ぬるいのである。
こうなったら部屋中の窓という窓を閉めてやろうじゃないか。
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宮沢章夫『茫然とする技術』より引用
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薄暗い住宅地に、あっちゃんの元気な声が響きます。
でも返ってくるのは、甘く腐った匂いに満ちた、生ぬるい夜風だけです。
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雀野日名子『トンコ』より引用
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と下から上へ投掛けに肩へ浴びせたのは、旦那に続いた件の幇間と頷かれる。
白い呼吸もほッほッと手に取るばかり、寒い声だが、生ぬるいことを言う。
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泉鏡花『鷭狩』より引用
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思いきり握った。
手の中に生ぬるいものが大量に滲み出し、指の間からしたたりおちた。
異臭が鼻をつく。
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菊地秀行『妖戦地帯1 淫鬼篇』より引用
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という動物の唸り声のような声がし、生ぬるい水がぽたぽた降ってくる。
驚いて顔を上げるぼくの目に飛び込んできたのは、雄牛のような巨体を柔道着に包んだ、男子生徒だった。
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野村美月『文学少女シリーズ13 “文学少女”と恋する挿話集3』より引用
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苛酷な、現実主義的な職業的革命家たちは彼の人間尊重を批判した。
彼らにはそれがブルジョア式の生ぬるいヒューマニズムに感じられたのだ。
しかしそれは彼の場合、もっと人間の生き方、生に対する態度と関係していた。
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辻邦生『北の岬』より引用
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新京では満軍の反乱が急激に重大化されなかったのは、新京にはまだ第百四十八師団が駐屯していたのと、翌十四日午後には、傍目には無方針の暴露としか見えないながらも、総司令官以下が新京に戻って中枢機能がやや恢復したからである。
他の地区での満軍反乱は、新京でのように生ぬるくはなかった。
ソ連軍進入に際しての混乱に乗じて各地で背反し、所属の日系軍官が殺された。
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五味川純平『虚構の大義 ─関東軍私記─』より引用
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それは今まで味わったことがないほどリアルで、気持ちがよくて、そしてわかりやすい手応えのはずよ。
この生ぬるい国でほかにそんなものを感じられることがある?
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森絵都『DIVE!! 上 (RubyMate変換)』より引用
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しかし、そのことを意識してしまうと、妙に気になるのだ。
この生ぬるいところで今、自分は一体、何をしているんだろうと思ってしまう。
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機本伸司『神様のパラドックス』より引用
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怒るなどという生ぬるい言葉で表現するのではまったく足りないほど怒っていた。
気の弱いカエルなら、いまの弓子に睨まれただけでショック死するかもしれない。
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桜坂洋『よくわかる現代魔法 第04巻 jini使い』より引用