生々しい現実

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  • ニユースなんてものはもう傍観桟敷のシヨーになつてしまつているものだが、君がぶつかつたのは生々しい現実の人間本性の一面だ。 吉川英明『父 吉川英治』より引用
  • 大戦後のドイツの貧困にあえぐ人々の生々しい現実を風俗的な側面から捕らえたこの作品は、パープストのリアリストとしての側面をよく表している。
  • その卵はあまりにも細部が奇ッ怪で、なお生々しい現実感を具えていて、おまけにサフィアーンの精神こころの内側には、喚起される感情がありました。 古川日出男『アラビアの夜の種族3』より引用
  • 「インスマウスの影」は、実体の出現に関していえば、いまのべた二作のほぼ中間にくらいする作品であって、幻想的でありながら、読後の印象には不思議に生々なまなましい現実感があり、その魚のような顔をした怪しい生きものの影がいつまでも心に残る。 ラヴクラフト全集1『05 「訳者あとがき」』より引用
  • この意味では、婦人作家が、「生々しい現実に下手に煩わされていない」ための芸術至上主義と評されたその芸術至上主義こそ、現代社会の婦人に辛い生存事情によって最も悪質に蝕まれた結果の現象と云い得るのである。 宮本百合子『婦人と文学』より引用
  • だからこういう「不幸」は、たえず生々しい現実にひきもどされる。 吉本隆明『悲劇の解読』より引用
  • 特に民族紛争地帯や金融機関など、普段テレビカメラを置かないような場所からも時々刻々と伝わるマイナーな情勢まで詳しく捕らえ、世界の生々しい現実を浮き彫りにしていく。
  • 彼は、それまでの会合で、同性愛者自身が、ともすれば同性愛の生々しい現実から目をそらせるために抽象論に逃げ込みがちであることを知っていた。 井田真木子『もうひとつの青春 同性愛者たち』より引用
  • 宮崎支隊が、悪戦している事情は、福島大隊にもわかっていたが、浅井中尉の報告には、生々しい現実感がある。 伊藤桂一『遥かなインパール』より引用
  • いづれも、彼女の記憶の中にあるか、或はそれに近い漠としたものであつたが、一番生々しい現実の色彩を帯びて浮びあがつたのは、彼女が十二三の頃、家族総出で海水浴に行つた房州の海浜である。 岸田国士『荒天吉日』より引用
  • 事件が終ってから、だいぶ月日がたったので、あの恐ろしい疑惑はいまだに解けないけれど、私は生々しい現実を遠ざかって、いくらか回顧的になっている。 江戸川乱歩『江戸川乱歩全短編02 本格推理Ⅱ』より引用
  • 然し我々の長からざる生涯に於て、すべて絶巓に位するところの唯一のものを、その色も香も手ざはりも声も具えた生々しい現実の姿で、掴みうることが、いくたびあらう。 坂口安吾『吹雪物語』より引用
  • いきなり生々しい現実を突きつけられて僕は戸惑うが、同時に、そうした女性としての正常のサイクルが月子の体に訪れたことに、なにか安堵というか、安らぎを覚える。 渡辺淳一『シャトウ ルージュ』より引用
  • 虹をまとい、真紅の夢をよろい、しゃこの眼さながらな青緑の翼をつけたすがたに、生々しい現実を変形させることを考えめされい。 バルザック/小西茂也訳『風流滑稽譚(第三輯)』より引用