生々しい人間

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  • 塩を取りのぞいてみると、驚ろいたことに、なかから切りとられたばかりの生々しい人間の耳が二つ現われた。 ドイル/鈴木幸夫・鮎川信夫・内田庶・中尾明訳『シャーロック・ホームズ全集(下)』より引用
  • 百八十円で買ったとかいう狸の皮の裏には黒い汚点しみのあとがところどころに残っていて、それは生々なまなましい人間の血であると医師は言った。 岡本綺堂『探偵夜話』より引用
  • けれども、今までに、イエス・キリストをこんなに生々しい人間臭い感じで描いた監督はいなかったんですね。 淀川長治『続々』より引用
  • コーエンの歌の大きな特徴の一つは詞という限られた空間に生々しい人間のドラマを宿していることだが、それはまだ学生だったこの時期から受け継がれてきた美質だったのだ。 浜野サトル『新都市音楽ノート』より引用
  • 消防士たちは、家のなかの不思議な設備におどろきの眼を見はっていたが、三階の窓のふちに切りとられたばかりの生々しい人間の親指を発見したときは、いよいよさわぎが大きくなった。 ドイル『技師の親指』より引用
  • 昨日午後二時ごろ同嬢あてに茶いろ紙包装ほうそうの小さな小包郵便が配達されたが、開封かいふうしてみると中はボール箱で荒塩あらじおがいっぱいまっており、これを取り除いてみると塩のなかから生々しい人間の耳が二つまで現われた。 ドイル/延原謙訳『シャーロック・ホームズの最後の挨拶』より引用
  • そういう生々しい人間関係って、苦手なんですよ。 北野勇作『ハグルマ』より引用
  • ただ面白いとか有名だとか、そういう目の先にひかれる感興にしたがってあれからこれへとあさって読むのでなく、自分がしんから尊敬出来ると思う古典を、しっかり研究して、その作家が一生をどんな努力で愛と正義とを求めて暮したか、そういう生々しい人間生活の跡にもふれて、学びとることが大切だと思える。 宮本百合子『古典からの新しい泉』より引用
  • 明暗をひっくるめてその関係の生きて動きつつあるそのものを、よりひろいより大きい時間と空間との中に再現したとき、人間は常に進歩を欲しているものだがまた常にそれは矛盾におかれている、その生々しい人間真実の悲喜をうつしたとき、文学精神の明るさも、いうに甲斐ある透った明るさとなって爽やかに輝くわけだろう。 宮本百合子『文学は常に具体的』より引用
  • そこには日を追うごとに、生々しい人間ドラマが展開されるので、下手な推理小説を読むよりも手っ取り早く、また比べものにならぬほどの迫力があるから、つい引き込まれてしまう。 上野正彦『死体は知っている』より引用
  • しかしヒゲの老宮様とちがってまだ若い華頂氏がもっと生々しい人間苦の中に住まねばならぬのは当然で、しかも激しい苦悩と混乱のあとに「真の自由は自律的には不自由なものだ」と思索的に結論を得た良識は、実にいじらしく愛すべく、また賞讃すべきではありませんか。 坂口安吾『安吾人生案内』より引用
  • 戦の惨は、戦場の血しおより、事前と事後の、こういう生々しい人間苦に、より以上深刻である。 吉川英治『新書太閤記(十)』より引用
  • それだけに、小説としても、生々しい人間臭をもつとおもう。 吉川英治『随筆 私本太平記』より引用
  • 匂うような官能的な夫人の肉感に象徴される形見の志野茶碗の名器の感触と幻想から生まれる超現実な美的世界と、俗悪に堕した茶の湯の世界の生々しい人間関係が重なり合って描かれている。
  • 戦闘渦中の兵隊の生々しい人間性を描き、戦地から送った従軍記『麦と兵隊』が評判を得て人気作家となり、帰還後も「兵隊作家」ともてはやされた。