物物しい

全て 形容詞
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  • このあたりは人も這入らぬと見え、原始林をそのままの形に残した物物しさにも、やはりどことなく人工が感じられた。 横光利一『旅愁』より引用
  • 隼太が下城して来たころは、家家の塀の内から花の香が匂って来る穏やかな春の夕刻でしかなかったのに、光景は一変して、町は物物しい空気に包まれている。 藤沢周平『風の果て(下)』より引用
  • ぴったり閉じられたガラスの中なので話は聞えなかったが、電気の消えた店内の暗さを背景にしているため、漸く通りの明るみを受けた支配人とボーイ三四人の顔が、水族館の中の鮫のように物物しく映って見えた。 横光利一『旅愁』より引用
  • 使いの男が軽く戸を叩くと、潜り戸がひらいて二人は門内に通されたが、眼にとびこんで来た屋敷内の物物しい警戒ぶりが、隼太をおどろかせた。 藤沢周平『風の果て(下)』より引用
  • 物物しい石組みの外壁、どっしりと威圧感のある建物の正面、右手に大きな窓が見える。 小野不由美『屍鬼(上)』より引用
  • 怪しからない事をいふ、そんな子はすぐ故郷の方へ送り返して下さいと農民組合長の言葉を農村課長が取次いで、さる病院の博士に健康診断をして貰ふなど物物しい騒ぎの末に、心臓が弱いから女給には向かぬといふ口実で故郷の方へ送り返した。 森田たま『もめん随筆』より引用
  • 題された文字の物物しさは、いかにも志功的であるけれども、内容はこれまでの福光近辺の人たちのために描いた肉筆画と『釈迦十大弟子』など版画の代表作の展示であって、戦意昂揚や必勝祈願のための特別な作品は、ひとつも含まれていない。 長部日出『鬼が来た 棟方志功伝(下)』より引用
  • さて若衆のいでたちや 奴冠りに筒袖の 半纏すがた意氣なるに 帶ぶや棕梠の木竹箒、 事あり顏に見交して 物物しくも構へたり。 萩原朔太郎『煤掃』より引用
  • 板谷番所は慶長三年に仙台の伊達の侵攻にそなえて設けた番所で、建物を板谷御殿と呼び、指揮者を板谷御殿将と物物しく呼ぶのは、伊達との戦闘があったあとで、上杉の家臣奥山大膳が足軽五十名をひきいて守備についた名残りである。 藤沢周平『漆(うるし)の実のみのる国(上)』より引用
  • ロンドンへの途中、マンチェスターもバーミンガムも空には夥しい阻塞氣球の城壁ができてゐて物物しかつたが、ロンドンに入ると更に夥しい氣球で、それだけでも戰爭氣分を滿喫するに十分だつた。 野上豊一郎『大戦脱出記』より引用
  • その表彰状といふのは、「右者齲歯ニ罹リ易キ乳歯時代ニ於テヨク留意シ口腔歯牙ノ清掃ヲ励行セラル依テ茲ニ之ヲ表彰ス」といふ物物しさであつた。 外村繁『打出の小槌』より引用