物がなしい

全て 形容詞
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  • いくつかある裸体画はどれも大胆でいて物がなしくしかも迫力があった。 柏原兵三『徳山道助の帰郷』より引用
  • しかし半十郎はそう言ったあとで、無精ひげの権平の顔が物がなしくうかんでくるのを感じていた。 藤沢周平『秘太刀馬の骨』より引用
  • そのあとに来た空虚感に一瞬物がなしさを誘われたが、喜左衛門の心はすぐに現実にもどった。 藤沢周平『夜消える』より引用
  • あえて言えば、早苗は一種物がなしげな顔で、平四郎を見つめていたのである。 藤沢周平『よろずや平四郎活人剣(下)』より引用
  • 寝ろー、寝ろーと聞こえる物がなしいメロディにも、四号たちはもう慣れていた。 豊田穣『海兵四号生徒』より引用
  • 幾たびも物がなしい夕ぐれに出会い、そのようなおりに私は彼のことを思い出さねばならなかった筈である。 立原道造『夏秋表』より引用
  • その歌は、意味はよくわからなかったが、物がなしい調子で、盧涵は酒の席にはふさわしくないような気がした。 駒田信二『中国怪奇物語(妖怪編)』より引用
  • 突然、クーウーウという長い、物がなしい間のぬけた音が平目の席から聞えてきた。 遠藤周作『口笛をふく時』より引用
  • と、茂登はどことなく物がなしそうな顔つきで言い、さらに今夜は相談ごとがあるから少し酒をひかえて早目に帰ってもらえないかと言った。 藤沢周平『麦屋町昼下がり』より引用
  • 夏の夕暮など、仕事に追われて部屋の暗くなったのも忘れて机に向っている折ふし、私は、急にこの家鴨の物がなしいしわがれ声に、ふと気がつくことがある。 遠藤周作『ぐうたら好奇学』より引用
  • C組の全員がびっくりするほど、このクーウーウという家鴨が咽喉をつまらせたような物がなしい音は二度もつづけて鳴った。 遠藤周作『口笛をふく時』より引用
  • 甥や姪などというものは、なにかで身内があつまるようなことでもなければめったに会うこともなく、ふだんは忘れて暮らしているのに、この物がなしい気がかりは何だろう。 藤沢周平『日暮れ竹河岸』より引用
  • そして、一しきり溢れ出て来た涙が皆んなが留守になつてから四五日間感じた事のない、物がなしい、たよりなさが、今はじめて、染々と感じられるのだつた。 伊藤野枝『監獄挿話 面会人控所』より引用
  • すべてが、安らかな、また物がなしい自分たちの息づかいを聴いた。 北原白秋『フレップ・トリップ』より引用
  • やがて、レコードが重くはなやかに、物がなしく、ひそやかに、あらゆる感情の交錯した音を、ひきずり出して、部屋の気分を一変させた。 菊池寛『貞操問答』より引用
  • 夕霧は物がなしい心地を静めて、そっと咳払いする。 田辺聖子『新源氏物語』より引用