煩い
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動詞
399 の例文
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その時は水際に近い旅館へわざわざ泊っていた。その旅館の裏門口ではやはり今晩のように巡航船の汽笛の音が煩く聞えた。その夜は蒼い月が出ていた。
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幾は寡婦になつてからこのかた、老母と二人きりで、出入の多い料理屋をともかく後指をさゝれずにやつて来たほどであるから、柔い中にどこか堅気のある女にちがひないが、かうなつた上は父の顔を汚すやうなことをして貰ひたくないと、母はそれをも考へてゐたのにちがひなかつた。事実、母と幾との親しさを見て、町の人々も煩く噂はしなくなつたのである。それにしても病身の母があれこれと思ひをめぐらし、努めてそのやうにしてゐるのを眼にとめると、民子はたゞ痛々しいと感ずるのでもあるし、又誰にともなく腹が立つのであつた。
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いかがわしい宗教を追い払うことは、すぐれた宗教との自由な競争において、あるいは合理的な冷静な思索の力を育成することによって、なさるべきであって、固定した信条を強制することによってなさるべきではない。私はいかなる信条をも奉じないということを何の煩いもなしに言い得る社会をむしろ喜びとするものである。もし信条という言葉によって政治的立場を現わし得るとすれば、そういう信条を奉ずるということは、むしろおのれ自身の判断を放棄することにほかならないであろう。
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敏夫が煩いことを言わず、こちらの事情を察してくれたようなのが嬉しかった。受話器を置いて、元子は茶の間を窺う。
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さうして、呪はれることが必要だ。すべて温いものの煩しさには悪魔さへ辟易するだらう、と草吉は自分に言つた。遥かな旅愁が流れかかつてくるのであつた。
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「どうもしないのですの」 新人は微かに言った。南は煩くその理由を聞くこともできなかった。南はその夜、凍のように冷たい新人と枕席を共にした。
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宵闇に包まれはじめた水田から、蛙の声が湧き上がる。その煩いほどの蛙の合唱の中、玲と一成は川沿いの道を歩いていた。遺跡を見終わると、一成が家まで送ってくれるといった。
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報知を聞くと斉しく、女は顔の色が変って目が窪んだ、それなりけり。砂利へ寝かされるような蒲団に倒れて、乳房の下に骨が見える煩い方。肺病のある上へ、驚いたがきっかけとなって心臓を痛めたと、医者が匙を投げてから内証は証文を巻いた、但し身附の衣類諸道具は編笠一蓋と名づけてこれをぶったくり。
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それで鈴をつけたら煩くて仕方ないから、つけてないんだと思います。それに、このたっくさんついてる垂の部分も、これは紙ですけど、これで鈴振りをすると切れてしまうでしょう。
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先日の深夜、タクシーに乗って、 「高速に入ってもいいですよ」 と、言った。その道路を使うと遠まわりになるのだったが、信号に引っかかるのが煩い気分になっていた。
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家の中のことは週に三回来る家政婦がだいたいやってくれるが、家政婦が来ない日やサッカー部の練習で朝早く起きなければならない日は、やはり煩しさを感じる。けれど母親と離れて暮らすようになってから日が経つにつれ、そんな煩しさにも慣れてきた。両親が別れた理由を、聡は知らない。
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それが、あのなんの煩いもない少年時代というもんだろうな。一体、いつまで眠りたいんだい。
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僕はテレビで放映する映画を楽しみにしているが、再放送であることを謳わない、題名をわざと紛らわしくするなど、これは詐欺行為に近い。昭和三十年頃、煩い記者をラジオ・テレビ局に左遷するという傾向があった。また無頼漢のような芸能記者がいたものだ。
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わたくしには、わたくしが女であるための煩いが多い。いまにだんだんそういう自分に超越して、変な目でわたくしのものを読む人にも平気になれるであろうけれど。
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僕は煩いのは嫌いなので、外に出ることにした。雨は上がり、建物の前のアスファルトのところどころが事務所のライトを反射していた。
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彼はひまさへあれば馬小屋に出かけた。次兄が馬の世話をする役であつたが、房一はその傍に煩くつきまとつて離れなかつた。次兄は馬の世話をするのはそれほど好んではゐなかつたが、あまり房一がつきまとふので、一種の矜持を感じて来て、房一には少しも手出しをさせなかつた。
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何か書状が来ている時はすぐにそれを読み下して、大抵は煩いと云ったように首を振った。
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ところが、その翌年の冬のはじめに、たまは急病になった。そして、わずかな煩いのあと、元禄十五年一月十一日に、死んでしまった。久兵衛夫婦は、たまが死んだので、ひどく心をいためた。
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音楽が煩かったわけではなくて、彼のしゃべり方の問題だ。「猫が三匹」土岐野が答える。
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