無為徒食
全て
名詞
72 の例文
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健康状態が思わしくない状態が続き、圓城寺本人は東京の大学へ進むつもりでいたが、千葉医専で診察を受けると「こんな体で東京に行くなんて死に行くようなもんだ」と医者におどかされてしまう。このため、いったん進学をあきらて、自宅で無為徒食の生活を三年続けた。だいぶ体の調子が良くなった1927年に大学予科だった第二早稲田高等学院文科に入り、早稲田大学政治経済学部に進む。
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別荘は義妹の名前になつてゐたのを、終戦後、折を見て手放してしまつた。全くの無為徒食であつたが、女中のきぬは義妹の世話であつたが唖の女である。きんは、暮しも案外つゝましくしてゐた。
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そのあげく、あえて女性の繊細さを語り、スペインとイタリアを軽蔑するのである。反対に、イタリアの青年ほどの無為徒食の者はいない。感受性をにぶらす運動というものは、彼らにはとてもがまんができない。
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長い年月をかけてやっと一本立ちを許されるまで何とか漕ぎつけたところ、ちょうどその時期、毛を植える機械が発明されたので、彼の修業はすべて水の泡。その間ずっと寝そべって、無為徒食していた人間と、条件はまったく同じになった。手に職をつけるのはいいことだが、時代の状況に無関心であれば、こういう悲劇に陥りやすい。
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まったくの無為徒食の新吉にも、一つだけ奇妙な〝趣味〟があった。それがはたして趣味と呼べるものかどうかわからないが、何事にも興味をしめさない彼が、それだけに対しては熱っぽくなることだけは、たしかであった。
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無為徒食の彼には、用もないのに難儀して山を歩くなど徒労の見本のように思われるのだったが、それゆえにまた非現実的な魅力もあった。遠く離れていると、駒子のことがしきりに思われるにかかわらず、さて近くに来てみると、なにか安心してしまうのか、今はもう彼女の肉体も親し過ぎるのか、人肌がなつかしい思いと、山に誘われる思いとは、同じ夢のように感じられるのだった。
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これまではそれでも外に出たり、友と交わっているだけましだと思っていたが、いよいよ家から一歩も出ず無為徒食を極めようとする息子の姿にひとこと言わずにはおれない。「おまえはこのまま家に巣食う白蟻のように一生を過ごすつもりか」 一匹の白蟻くらいで傾くような家ではなかろうにけちくさい、と王弁は内心くちびるを歪める。
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無為徒食の生活が清らかなはずはないんですよ。
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彼はリュセルンでムダに時をすごしていることにうしろめたい感じを抱いていたのだ。まったく無為徒食で、結果としてはまア、イギリスへ行くことになったのだが、それも彼が切れ者だからというわけではない。自分で獲得した手柄でも名誉でもないのだ。
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こうして、それ自体としてみれば卑しい種類のものでありうる職業に対して、高い名声が付着してくるのである。制服を着用した護衛団という無為徒食の連中を雇っておく慣行は、平和愛好的な産業の発展とともに次第に衰退する。保護者や主人の記章を身につけた従者たちによってなされる代行的消費は、仕着せを着用した使用人の一団に限定される。
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自分ひとりの未来さえつかみかねているのに全人類どころではない。無為徒食はヤンの理想とするところだが、このような状況ではあまり悠然と現状を楽しむ気にもなれなかった。故人の遺品をあまりかきまわすのもどうかと思ったが、他にやるべきこともないので、ヤンは、ケーフェンヒラーのトランクのひとつを開けてみた。
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わたしはもうすこし麻雀を見物してから、家に帰って両親にちゃんと頭を下げた。春節の休みが終わると、なしくずしに無為徒食の日々へと突入した。陸軍官校へは戻らなかったが、わたしには目論見があった。
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ために、ガン・クラブの会員たちは、遺憾ながら無為徒食の状態に落ちこんでいます。数年のあいだは、ある時期、いろいろと事件が多かった。
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日本の貴族はヨーロッパの王侯貴族のように残忍横暴なことはしていないが、無為徒食する無能な輩と見られている。人間の羨望は恐ろしいものだよ。
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なにとぞ、わが子のために父親に、よき父親になってください。一挙に無為徒食の生活を取り上げないでいただきたい、角を矯めて牛を殺すことになりかねませんので。さて、息子は母親の相続者の資格において、小生に対し債権を行使できるのですが、それは放棄するようにと切願します。
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平同心は幕府から禄を受け取ける武士としての立場でありながら、平時は農耕に従事し、年貢も納める半士半農といった立場であった。この事から、無為徒食の普通の武士に比べて生業を持っているということで、太宰春台等の儒者からは武士の理想像として賞賛の対象となった。平同心に至るまで、剣術の稽古が義務付けられ、月番日記などで流派が確認できる。
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仕事は何もないしね。自分の無為徒食を恥じて、恐れているんだよ。わたしはあの子を度はずれに愛しているし、あの子もわたしになついてくれてるけど、やはり、結局のところ、自分はこの家で余計者だ、むだ飯食いの居候なんだ、という気がするのさ。
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