無人の廃屋
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開けた車の窓から蝉の声だけが微かな風音とともに吹き込んでくる。常に静かなところだが、まるで無人の廃屋に迷い込んだような気が静信にはした。やがて本当に無人になる日も遠くないだろう。
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母屋には、まだ灯りも入っていない。しばらく来て見ぬうちに、まるで、無人の廃屋のような、荒涼としたものがあたりにただよっている。眉をひそめた大治郎の頭上を、蝙蝠が飛び交っている。
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わたしが言葉をきっても笑ったりはせず、一七九三年に発狂した少年、わたしの小説の主人公といってさしつかえない少年について、きわめて真剣な口調で質問をした。わたしはマントンに、少年が忌避される無人の廃屋に行った理由を告げ、少年が興味をいだいたのも当然で、窓にむかいあって坐っていたものの姿が窓ガラスに残っていると信じていたからだと教えてやった。窓のなかにさまざまなものが見えるという噂話があるために、少年はその悍ましい屋根裏部屋の窓を見にいき、狂乱した悲鳴をあげながらもどってきたのだ。
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七年前に両親が死亡。以後、被害者の生家は無人の廃屋となっていますが、死体発見現場近くの屋島西町。
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事実、戦争の騒ぎで表立ちはしなかったが、一八六一年に頂点に達した一連の死がつづいてからというもの、賃貸しされることはなくなった。男子の血筋の末裔にあたるキャリントン・ハリスは、わたしの体験を耳にするまで、伝説のめざましい中心になっている無人の廃屋と見ていただけだった。取り壊して跡地に集合住宅を建てるつもりでいたが、わたしの話を聞いてから、家はそのままのこし、配管工事をおこなって賃貸しすることに決めた。
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母をしのぶつもりもあり、当面、そのままにしておくつもりでいたものの、無人の廃屋を放置しておくのは何かと気がかりなことではあった。母が愛していた家を取り壊すとなれば、よほどの覚悟が必要だったが、前年の秋、家の隣の空き地で原因不明の火の手があがった。
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カーターはマントンに、1793年に発狂し、屋根裏に閉じこめられた少年の姿が窓に映るという無人の廃屋の話をした。
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店とはいっても、それほどご大層なものではない。一、二間程度の手狭な土間に、人足二人の宿所も兼ねているため、奥に一部屋、畳敷きの間を用意してあるが、それとて無人の廃屋を思わせる荒れ加減である。
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所々色褪せた青ペンキ。終末めいた無人の廃屋。唯一昨夜と異なるのは日中という事だが、中に入ってしまえば変わりはない。
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