澄み切る
全て
動詞
18 の例文
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ようようにお月様が沈んで、まぶしいお太陽様が東の方からキラキラとお上りになりました。その時にはもう湖の水はもとの通り水晶のように澄み切っておりました。
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恐らくそのせゐに違ひない。先生の白眼はいつでも充血してゐて、白く澄み切つてゐる事がなかつた。
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陳潜の指摘したとおりであった。彼は鏡のように澄み切った平静な心で、怒りの言葉を口にしているのだった。喜びであれ怒りであれ、人間は興奮すると、一種の盲目状態になる。
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何も見るものなんかないじゃないか。しかし少年は動かないで、澄み切った眼をまた遠い山脈の方に向けた。父親は強いなかった。
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二人に蹤いて外まで出た彼女の心は、興奮したまま朗かに澄み切った。凡ては潔い静寂のうちに在った。
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だが、吹き渡る風はなぜこんなにも虚しく淋しい音を立てる。豊穣な澄み切った景色の中で、どうして一羽の鳥も一輪の花もないのか。黒い農民服を着た、老婆がいた。
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よく見ろ、ここに日本精神がある。このように澄み切った心で国家の興隆を念ずるのが、現代青年の責務だ。それを笑うとは何事だ。
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嵐といっても空は青い。雲の流れが多少速いとはいえ、冬の澄み切った高い空がどこまでも続いている。風もそう強くはなかった。
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藍色に染まりつつある西の空へ眼を送った。澄み切った朝の大気から炙り出された雲たちが幾十となく湧き立っている。
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床の間の冷たく透き通った水晶の置きものに、舌を当てたり、頬をつけたりした。饑えぬいて、頭の中が澄み切ったまま、だんだん、気が遠くなって行く。
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その澄み切った瞳に僕の身体がこわばった、まさにその瞬間でした。
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その明け方の空の下、ひるの鳥でも行かない高い所を鋭い霜のかけらが風に流されてサラサラサラサラ南の方へ飛んで行きました。実にその微かな音が丘の上の一本いてふの木に聞える位澄み切った明け方です。いてふの実はみんな一度に目をさましました。
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ぼくは美羽を、天使のように綺麗なものに思い、ひたすら憧れるばかりだった。美羽を想うぼくの心は、水のように澄み切り、光のように輝いていた。そんな気持ちを向けられていた美羽は、もしかしたら、苦しかったのだろうか?
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数万の人間のざわめきが止み、信じられないほどの静けさがスタジアムを包んだ。そのとき、ゆったりと落ち着いて、明るく澄み切った音楽が流れ始めた。のびやかな絃の調べにフルートが続く。
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「マア、どうした霧かいな、船が衝突せにゃよかが」 なるほど、霧夜の汽笛が遠くボーボーときこえていた。しかし海面の霧は厚さ一丈で、その上が澄み切っている事を私は知っている。私は老婆に一礼して下り始めた。
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絵の具の塗られた顔が私に向かって瓦礫の間でにたにた笑っていた。頬にはピンクの丸い輪が描かれ、黒い眼は描かれた人形のように澄み切っていた。戦争中の田舎で、私は戦争から遠ざかっていようと努力した。
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何となく胸のつかえがおりたようで、不思議に澄み切った心境であった。