漸く自分

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  • 三千代は漸く自分の言ひたいこと以外の話題に気付いた様子であつた。 坂口安吾『狼園』より引用
  • 張金田から誓いを求められたことによって、私は漸く自分の力を知った。 豊島与志雄『画舫』より引用
  • 入鹿は大臣蝦夷が、漸く自分の考えに同調し始めたのを知って満足した。 黒岩重吾『落日の王子 蘇我入鹿(上)』より引用
  • 秋田はようやく自分の来意を告げなければならない時に来たことを知った。 森村誠一『分水嶺』より引用
  • そして、ただ私のアトリエだけがようやく自分自身のものであるに過ぎないのだ。 小出楢重『めでたき風景』より引用
  • 彼は十二年もかかって、ようやく自分の妻とほんとうに心の顔を合せることが出来たように思った。 島崎藤村『新生』より引用
  • 雑嚢を肩からかけた勇吉は、日の暮れる時分漸く自分の村近く帰って来た。 田山花袋『トコヨゴヨミ』より引用
  • かくて彼らは、詩人をいらだたせることでようやく自分たちの方へ注意を向けさせることができるのだ。 スタンダール/白井浩司訳『恋愛論』より引用
  • 大部分の客が席に居並んだ頃になつて、房一は漸く自分を呼ぶ直造の稍しやがれた声を聞いた。 田畑修一郎『医師高間房一氏』より引用
  • もう、他人のことはいいだろうとみきわめをつけて、新吉はようやく自分のために働き出した。 平岩弓枝『ちっちゃなかみさん』より引用
  • 菜穂子はようやく自分自身に立ち返りながら、自分の今しようとしている事を考えかけようとした。 堀辰雄『菜穂子』より引用
  • まず大抵ここら当りだろうと遠くの火事を見るように見当をつけて漸く自分の部屋へ引き下った。 高浜虚子『漱石氏と私』より引用
  • 私は疲れた足をひいてやうやく自分の家へ辿りついた。 中沢臨川『愛は、力は土より』より引用
  • あの女は漸く自分の境遇に安んずる態度を示して来た。 レニエ・アンリ・ド『復讐』より引用
  • 最後の岩塊を避けて右へと抜け出ると、急に傾斜がなくなって、漸く自分たちが国境線の尾根筋に出たことを知った。 小川登喜男『一ノ倉沢正面の登攀』より引用
  • ようやく自分の帰国の日が来た。 島崎藤村『新生』より引用
  • 甥である当主が歿って、子供もないところから、漸く自分に主人の座が廻って来た。 平岩弓枝『御宿かわせみ 21 犬張子の謎』より引用
  • すくなくとも私のやうな頼りない人間は、自分の作品のあとでのみ、漸く自分の生活が固定する、或ひは形態化する、といふ感が強い。 坂口安吾『文章その他』より引用
  • 待ちに待ち、苦労に苦労を重ねてようやく自分の手に落ちた姫君を、鼻の先で掻っ攫ったまま、顔さえ見せてくれようとはせぬ。 福永武彦『風のかたみ』より引用
  • 再び巴里を見るのは何時いつのことかと思って出て来たあの都の方へもう一度帰って行く楽しみを思い、新しい言葉の世界がようやく自分の前にひらけて来た楽しみを思い、ボルドオから岸本は夜汽車でった。 島崎藤村『新生』より引用
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