漸く私

40 の用例 (0.00 秒)
  • 火葬場へは自分一人が行けば充分だと言い、漸く私だけ同行を許された。 豊島与志雄『絶縁体』より引用
  • そして漸く私は、この家庭の中での自分の地位がぼんやり分ってきた。 豊島与志雄『新妻の手記』より引用
  • そこまで話されてはじめて直子さんのその話題の意味が漸く私に判って来た。 藤原晋爾『秋津温泉』より引用
  • それが三十年かかって漸く私にわかったことである。 佐藤愛子『冥途のお客』より引用
  • 外科医に起されて漸く私は目を覚したが、寒さで身体がぞくぞくした。 柏原兵三『徳山道助の帰郷』より引用
  • しかし入りは満員で、漸く私は隅の方に空いたテーブルを見つけて落着いた。 柏原兵三『徳山道助の帰郷』より引用
  • あのお繁が胸を突出すような真似をして見せたのは、漸く私達にその意味が解った。 島崎藤村『芽生』より引用
  • そうこうしているうちに歳月は過ぎ、漸く私は心霊についての若干の知識を身につけるようになった。 佐藤愛子『冥途のお客』より引用
  • この月に入って、漸く私は自分の仕事を終った。 島崎藤村『芽生』より引用
  • ようやく私の内部にも武蔵というものが熟してきて、武蔵を建造した造船所のある長崎へ出向いていった。 吉村昭『戦艦武蔵』より引用
  • それから三十分位して、漸く私の名前が呼び出された。 柏原兵三『徳山道助の帰郷』より引用
  • 人と沢山沢山すれ違って漸く私達は目的にして居たクオ・バディスをして居る活動の前に立ちました。 宮本百合子『芽生』より引用
  • 彼女は漸く私が彼女に翌日司祭館へ来るように、そうしたらよく訳を話すと言っているのだということを覚った。 ベルナノス『田舎司祭の日記』より引用
  • そしてさっきから私を苛ら苛らさせていた、何か不確かなような気分が、ようやく私のうちではっきりとしたものになり出した。 堀辰雄『風立ちぬ』より引用
  • 名前が先に決つて、それで称び慣れても私自身も周囲の者もヒヤヒヤしなくなる頃となつて、漸く私はその主人公ヒーローが活躍する一篇の物語が完成するのがそれまでの習慣だつた。 牧野信一『ゾイラス』より引用
  • 鐵道の從業員が京都方面へ乘換の人は用意せよと告げにくるころになつて、漸く私の相棒も眼を覺ました。 島崎藤村『山陰土産』より引用
  • 夜目にもさかんな月見草が微風そよかぜに揺れてゐる河堤で漸く私は馬車のうしろにぶらさがつた。 牧野信一『武者窓日記』より引用
  • 其頃から漸く私も父へ宛てゝ手紙を書くやうに成りました。 島崎藤村『幼き日』より引用
  • 夜露にぬれた叢があつたり、田の畔のやうな足元のわるいところがあつたりして、女は度々声を立てたが、漸く私達は新しく建てたらしい深樹の中の灯の美しく見える二階屋へと案内された。 田山花袋『耶馬渓の一夜』より引用
  • 今はこんなにも雑草が生い茂ってほとんど周囲の雑木林と区別がつかない位にまでなってしまっているこの庭も、その頃は、もっと庭らしく小綺麗になっていたことを、ようやく私は思い出したのである。 堀辰雄『美しい村』より引用
  • 次へ »