漸く一

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  • 漸く一組を元のように折るとまた新らしく一組を開かなければならなかった。 夏目漱石『道草』より引用
  • 女中は長い間かかって、漸く一本の小さな蝋燭を持って来ました。 豊島与志雄『影』より引用
  • 三木は時計ばかりを気にしながら漸く一日の会社務めを終へて、汽車に乗つた。 牧野信一『ダイアナの馬』より引用
  • 勘次かんじけばすぐぜにになるとおもつたのでやうやく一ゑんばかりの財布さいふふところにした。 長塚節『土』より引用
  • 去年の今月十一日に死んで漸く一週忌が終ったばかりの父の新らしい位牌があった。 豊島与志雄『生と死との記録』より引用
  • 車の通るのも稀になつてゐたので稍暫くたつてから漸く一台のタクシーを呼び止めた。 牧野信一『露路の友』より引用
  • しかし漸く一着フロックコートを作りましたが、それを着けましたのは、僅かに四五度位でした。 小泉節子『思い出の記』より引用
  • そのうち漸く一人一人起き上つた。 堀辰雄『羽ばたき』より引用
  • 俺の心には漸く一應の解決が出來た。 阿部次郎『三太郎の日記 第二』より引用
  • そして漸く一台の車を呼び止めることが出来た。 牧野信一『疑惑の城』より引用
  • それに、二週間ばかり前から疑似赤痢とも云ふやうな病気にかかつて、漸く一二日前から普通の食事を許されて、まだ寝床に横はつてゐた。 大杉栄『遺言』より引用
  • 一体、この巨大化し過ぎた闘いの決着は何時いつ来るのか、どのような形で来るのか、漸く一人一人の心中に不安は濃くなっている。 松下竜一『砦に拠る』より引用
  • 漸く一四九八年正月に至って、物資補給船二隻を先発せしめることが出来たという程度であった。 和辻哲郎『鎖国日本の悲劇 (前編)』より引用
  • 漸く一国の使節らしい忙しさがアダムの身辺を襲い始めていた。 井上靖『おろしや国酔夢譚』より引用
  • このナイフを使って苦心惨憺さんたんの末、漸く一本の鉄格子を取り外すことが出来るまでには、たっぷりと半時間あまりの時間がかかっていたであろう。 横溝正史『真珠郎』より引用
  • そして、舷側げんそくには、厚い甲鉄が肋骨をおおい、高さもようやく一五メートルほどの高さにまで盛り上ってきていた。 吉村昭『戦艦武蔵』より引用
  • そして漸く一個の川らしい姿になつて更に澁川で吾妻川を合せ、此處で初めて大利根の大觀をなすのである。 若山牧水『みなかみ紀行』より引用
  • 入口は、客を奥の方へは入れないため、漸く一人が体を横にして入れる隙間を残して、古ぼけた、ぼくの胸ぐらいの高さのガラスケースでさえぎられ、そこには申し訳ばかりの乏しい部品がわびしげに並んでいた。 柴田翔『されどわれらが日々──』より引用
  • 漸く一杯だけ食べた。 豊島与志雄『未来の天才』より引用
  • 謙信は、七歳の時、父為景ためかげうしない、十四歳の時から攻戦に従事し、十六歳十七歳と国内の諸豪と戦い、十九歳兄晴景はるかげをついで、ようやく一国を統一した。 菊池寛『日本武将譚』より引用
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