漂う雰囲気
24 の例文
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ヴィランは二〇代半ばで、ブロンドの髪に日焼けした肌が印象的な女だった。スポーツ好きなタイプのようだが、漂う雰囲気は図書館の司書といった感じだ。
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さすがは文明の利器、人間には解らなくても機械的センサーには解るらしい、サッと開いたドアをくぐった九曜は、傘立てのコンビニ傘を忘れず回収してから、いずこともなく姿を消した。俺たちの間に漂う雰囲気を察してくれたのかもしれない。だが、何しに来たんだ、あいつは。
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「もふ」 何をする、落ち着かないではないかという意の抗議を訴えてみる。イトコの表情とか様子は直接見えないけど、漂う雰囲気で大体の態度が分かる。
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輝之介は、しばしの間沈黙していた。すらりとした全身から漂う雰囲気は鋼のように冷たく、そして動かしがたい。美咲の問いに答えてくれるとはとても思えなかった。
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少なくともフォロンは暑いだの寒いだのと文句を言う精霊の話など聞いた事も無い。あるいはコーティカルテは気温そのものを問題にしているのではなく、街全体に漂う雰囲気の方を気にしているのかもしれなかった。暑ければ人々の動きはどうしてもだれ気味になるし、寒ければ今度はぎくしゃくして大人しくなり過ぎる。
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彼女の口調が、たしかに妻のものだったからだ。そう思って改めて見ると、藻奈美の周りに漂う雰囲気は小学生のものではなかった。落ち着いた大人の女のものだ。
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描かれている男性は謎めいた表情を浮かべており、漂う雰囲気とその外観とは不釣り合いな印象を与えている。男性の容貌は「地味で素朴」と表現されているが、物思いにふける内省的な表情にも見える。
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筋肉のつき方や、厚みも甲乙つけがたい。だが、漂う雰囲気はセネトと比べればむしろ穏やかなくらいである。顔つきも見た目だけで相手を畏怖させることのできるセネトに比べて、整い洗練されたものを感じさせる。
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バスを降りると、以前と同じ、重厚な化粧煉瓦の建物や鋳鉄の門扉が出迎えた。だが、そこに漂う雰囲気は、わずか三か月間で様変わりしていた。エンパスではない普通の人間には、感じ取れない変化かもしれなかった。
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当時八歳になったばかりの少女は、とても父親に似ていた。闇のような輝きの髪も、神秘的な瞳も、どこまでも整った顔の作りや全体から漂う雰囲気も、そっくりだった。綺麗な少女だ。
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三時過ぎに戻った沙羅は、すっかり冷えた鶏のクリームシチューを前に、リタがじっと坐っている姿を見て、顔をしかめた。リタがもう三時間近く、同じ姿勢で自分を待ちつづけていたのは、そこに漂う雰囲気であきらかだった。リタは沙羅に席につくように厳しい眼差しで命じ、二人は一言も喋らず、黙々と冷えきったクリームシチューを食べるのだった。
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男の後ろ姿には、近寄ってはならない不思議な禍々しさがあった。どこがそうなのかをはっきりと言い表すことはできないが、伸びきった髪の毛や、泥のついた服の袖、男の全身から漂う雰囲気に、拭いきれない穢れを感じたのである。男の歩みは遅く、杏子はその横を追い越そうとした。
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これほどきちんと片づけられ、掃除もされている様子であるにもかかわらず、この部屋に漂う雰囲気に、強い〝荒廃〟を感じてしまうのは何故なのだろう。どこがどう、とは説明できない。
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酸川野駅から当駅に至る区間の鬱蒼とした林を抜け、平地が開けた所に位置した。高原といった風情が漂う雰囲気であった。
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確かにこの部屋には、生活感というものが欠如している。家具は木製のものが多く、巧みに温もりを演出しているのだが、全体に漂う雰囲気がどことなく他人行儀なのだ。
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この場合、妻の相手が大物であればあるほど復讐の効果は大きい。橋口則夫を通して漂って来る大物の気配が、妻のパートナーに漂う雰囲気と重なり合っている。
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三人は実験室と思しい空間にいた。天井も壁も床も、すべて、これまでと同じく高熱に叩かれ熔融していたが、形も留めぬメカらしい物体の配置や薄明の死の中になおも漂う雰囲気によって、それと知れるのだった。円筒の形を残したメカが、一〇メートルほど向こうで、時折青白い光を放った。
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