漂う船
14 の例文
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さっきから止まったままのバスが、まるで波間を漂う船のように大きく揺れて感じられた。頭痛と、そして、吐き気さえ襲ってきた。
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航海中の汽船の中に、猛獣が暴れだして、船員を喰べた。大海に漂う船の中だから、逃げだすこともどうすることもできなかったのであろう。
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山寄りの屋敷町にあるその邸宅は気品があって堂々としていた。奥座敷からはすわったままで庭の松ごしに浜が見え、遠い水平線に漂う船の姿も見えた。青い微風に吹かれながらその座敷にすわっていると息子があらわれた。
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そうして気がつけば、エドガーは船の上にいた。波の上を漂う船の上に立っていたのだ。夜空には細い月が浮かんでいる。
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眉は優美な少女を連想させたが、手も足も長く健康的で、全身がバネといった風な様子なのは、いかにも少年らしかった。自分の仕事がなんなのか、はっきりとわかっている者特有の確かな足取りで、彼は蒸気の生ぬるい匂いが漂う船の通路に入る。どんな動きをしていても、鈍重さはかけらも感じさせなかった。
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雲行きが怪しいぜ。糸遊に乗って、 あしもとから透明になってゆく漂う船。
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ぎざぎざにきり立った波高十米に近い波たちが、吹き荒ぶ風とはまったく関わりなしに、一つ一つが狂った生き物のように異形に沸き上がりぶつかりあっては崩れ、風の咆哮と波たちの叫び声がみんなばらばらに競いあって目も耳も塞ぎたくなるような世界でした。たがいに顔を見あわせなくても、一夜の内に全員が体力気力のほとんどを消耗し、自分自身が救出を待つ者のように漂う船の上にただ張りついているだけなのがわかりました。実際に、夜明けを確かめながら私たちは昨夜失った友人の救出を願うことなど忘れて、今待ちつくしているものが私たちのためにこそ向かっているような気持ちになっていました。
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本の一等終りだったからだ。「思慮なき熱中は漂う船に似たり」だが、文字の線が見えないくらいに細い糸のようなので、右の眼をしっかり閉じ、左の眼でようく見てやっと頭字のくねりがすっかり見分けられるのだった。だけどハーフォード先生はとてもいい人で、決して癇癪を起こさなかった。
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われわれは九頭のラクダで方陣をつくり、すっかりいい気分になってその中に横たわった。まるで夜の海に漂う船に大波が打ち寄せるような大きな音を立てて、吹きすさぶ破滅が周囲に押しよせる音に耳をすませながら。見えるかぎりの星は美しくきらめいているが、頭上を飛ぶ雲の切れ間に、欲しいままに星座を変え、位置をうごかしているように見える。
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そこでカーターは、食屍鬼が停泊するガレー船を航行させられぬことを見ぬき、何層にもなったオールのあつかい方を教えようと申しでて、食屍鬼どもから熱烈に感謝された。いまや灰色の朝となり、鉛色の北の空の下、選抜された食屍鬼の特別班が列をつくって悪臭漂う船に乗りこみ、それぞれの漕ぎ手の座についた。カーターは食屍鬼どもが教えをうけたがっていることを知り、夜になるまでに何度か危険をおかして波止場のあたりを航行させた。
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それを見るにつけても波の反対の側をひた押しに押す風の激しさ強さが思いやられた。艫を波のほうへ向ける事も得しないで、力なく漂う船の前まで来ると、波の山は、いきなり、獲物に襲いかかる猛獣のように思いきり背延びをした。と思うと、波頭は吹きつける風にそりを打って鞺とくずれこんだ。
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この自筆原稿は現存せず、このときヴェルレーヌが筆写した原稿だけが残り、今日に伝えられることになった。この詩では、乗組員を失ってあらゆるものから解き放たれ、海に漂う船そのものが「私」であり、その精神世界であり、未知の世界の壮大華麗、怪異なイメージに酩酊する「見者」としての詩人である。まさに高踏派・象徴派のイメージであり、同時にまた、高踏派の詩人らが否定する政治的・思想的なメッセージが込められている。
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「ブリアン、僕も手伝うよ」 「いいんだ、バクスター」 ブリアンの手は、いよいよ堅く、舵輪を握りしめる。「君や、クロッス、ウェッブ、サービス、ウィルコックスの諸君は、小さい人たちの面倒をみてやってくれたまえ、ここは、僕たち四人で引き受ける」 いままででわかったように、いまこの嵐のまっただ中に漂う船に乗り込んでいるのは、少年たちだけである。そんなことがありうるだろうか。
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