漂う空気
29 の例文
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うんざりするような暑さもついに峠を越え、ようやく気温がじわじわと下がり始めたようだ。どことなく、辺りに漂う空気にも潮の香りが感じられるような気がする。海辺の集落には、独特な雰囲気がある。
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髪の毛を後ろで結んだ浅黒い横顔、汚れで黒ずんだ着物に猫背気味の背中。男の全身から漂う空気は、鉱夫のものでも、この近くの村の農夫のものでもない。山棲み人の持つような空気を発散させていた。
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そのくせ、日本の草薙家の雰囲気《ふんい き 》とよく似ている。古書店という場所に漂う空気は、国がちがっても共通のようだ。もう夜の七時を過ぎている。
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何か辺りを漂う空気が違う感じだった。
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それが、彼女らの不満を更に高めてゆく。六人のあいだに漂う空気はまるで今の天候のように、大荒れの気配を見せていたのである。目的の村に着いたときには、天候の異常はいよいよ本格的になってきた。
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その駒場が消えた事で浜面がトップの座にスライドしたのだが、その新たな力関係はすぐに浸透するものではなかった。むしろ、漂う空気からは不満の色の方が強い。何か組織全体の失態があれば、すぐさまその責任を全て押し付けられるだろう。
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擬似記憶であるとするならば、余りにもリアルすぎた。漂う空気の匂いも、体の震えも、隣にいた母の死も、そのすべてがエンターテインメントとして成立させようという意思はまるで感じられなかった。
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それは、ぼくにとっても竹田さんにとっても、必要な微笑みだった。二人の間に漂う空気を乱さないために。表向きの平穏を保つために。
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まるでここだけが人の世から切り離された魔境の巣窟。漂う空気から支配する理までここでは異なる。
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焼けつく日差しにあぶられているというのに、彼女の肌はシミ一つない白を保っていた。その秘密は漂う空気にあった。
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頭の中で警鐘が鳴り始め、心臓が激しく打ちだした。悪臭の漂う空気が動き、何かがベッドに触れた。
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この人の旦那さんも、まずはその笑顔にやられたんだろうと察する。エリオと二人で店内に頭を下げてから外に出ると、何だか一仕事終えた充足感漂う空気が殺到してきた。けどすげなく追い払う。
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単純に走って疲れただけではない。何か、辺りを漂う空気全体に禍々しいものを感じる。「最初の試練は乗り越えたか」 嘯く少女の声があった。
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しかし深夜零時を刻限として突きつけてきた以上、言峰は間違いなくその時間になれば桜を聖杯として機能させる。この地下空洞に漂う空気から察するに、聖杯が生み出すのは碌なものではないだろう。故に、聖杯が解き放たれるより前に、言峰を倒さなければならない。
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それでいて、現実とは何か大きな喰い違いがあるような気がしてならなかった。そう思うのは、香苗自身が家の中に漂う空気に、何か緊迫感に通じる気配を覚える時があるせいかもしれなかった。仕事を終えて家に帰っても、日によって神経がすんなりほぐれていかないことがある。
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二人の間に漂う空気は重く暗い。
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それから、円形の扉は下へ開き、待ちかねた手が彼を塔の中へ助け入れた。悪臭の漂う空気を一息吸ったモーガンは、人がよくもこんなところで生きていられるものだと思った。自分の任務が失敗していたとしたら、二度目の試みは手遅れになっていたことは、間違いなかった。
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