漂う小舟

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  • 佐智は自分が海に漂う小舟に乗っている、と思った。 加藤幸子『夢の壁・北京海棠の街』より引用
  • 二人は大海を漂う小舟の中に取り残された一対の男と女のように、官能の海を漂流した。 森村誠一『夢の原色』より引用
  • 自分の力で自分を制することができず、波にただよう小舟のようにその場その場の感情や気持に支配されて精神が散漫になり、少しもじっくりと落着くことができない。 中山義秀『碑・テニヤンの末日』より引用
  • その呼び名の如く、行方も知れず漂う小舟のような浮舟にも、ついに心の平安がもたらされたかに見えた。 大塚ひかり『源氏の男はみんなサイテー ―親子小説としての源氏物語』より引用
  • 自我とは心という危険な海に漂う小舟だ。 小林秀雄『考えるヒント 2』より引用
  • 枝を離れた一枚の木の葉が、流れに漂う小舟のように、その重くよどんだ空気の中を落ちもせず、ひらひらとすべっていくのを見た。 有島武郎『星座』より引用
  • いくら深呼吸をして精神統一をはかろうにも力が抜け出してしまうし、ファンキーならずとも、波間に漂う小舟のごとく、あらぬほうへ歩き出しかねない。 佐野良二『われらリフター』より引用
  • 広大な海を漂う小舟のように、水面に揺れている。 喜多嶋隆『プールサイドで踊ろう』より引用
  • 蛾の羽ばたきやら波のうねりに漂う小舟を、ありあり眼前に彷彿すればラヴェルは満足だし、おのずと或る種の感動はそこに醸成されると信じたのかしれない。 五味康祐『西方の音』より引用
  • 海に漂う小舟のように。 三浦綾子『細川ガラシャ夫人』より引用
  • それは、どうんという地響じひびきとともに、にわかに床が、ぐっと上にもちあがると、たちまち部屋は、嵐の中に漂う小舟のように、ゆらゆらと、大ゆれにゆれはじめたのであった。 海野十三『火星兵団』より引用
  • 川縁には屋根より高いけやきの大木が立ちならび、その大枝に窓はいちめんにおおわれて、青葉どきには真昼でもうすぐらく、部屋そのものがさながら緑の波に漂う小舟でした。 矢川澄子『兎とよばれた女』より引用
  • 大波に漂う小舟は、宙天に揺上ゆすりあげらるる時は、ただ波ばかり、白き黒き雲の一片をも見ず、奈落に揉落もみおとさるる時は、海底のいわの根なる藻の、あかあおきをさえ見ると言います。 泉鏡花『雪霊続記』より引用