済まないこと
79 の例文
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私は自分の子に済まないことをしたと思つて泣いても泣き足りなく思ひます。私は欧州に居た間の叔母さんと子供等とに就いて然もそれ程くはしいことは知らないのです。
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ところで再々はがきを有難う。一体いえばこっちからもっと出さなければならない所だが今の訳で済まないことをした。おたずねの政男は此間中の江南作戦に参加していたのではないかとおもっているが、まだよく解らない。
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膝から上は駄目よ、と足に触られた時には言った。しかし、いずれは、それだけでは済まないことが彼女にも分っていた。男の手はブラウスの下、下着の下の素肌を求めて来るだろう。
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叩いてしまってから、彼はハッとした。三千代に済まないことをしてしまったという悔恨が、彼の全身を強張らせた。
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手塚 成る程、お前の云ふことも尤もだ。黙つて小さくなつてゐれば、それで済まないこともないんだらうがね。房子 その方がよつぽどましよ。
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自分はやっぱり妻を愛しているのだ、と彼は思った。それから彼は妻の実家の母に済まないことをしたと思った。この義母はよく出来た人で、彼が妻を離婚できずにいたのも、一つにはこの義母に、綾子をよろしくお願いします、と会うたびにたのまれていたからであった。
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免状が無ければ、せっかく師範科を卒業したのに君たちは教師にもなれまい。まことに済まないことだが、なに、いつまでもこういうわけにはいかないだろう。いくら文部省でも、そこまで理不尽な横車は押せまい。
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もちろんあなたの組織に情報が漏れることも心配ですけど、問題はそれだけではないんです。ここにある秘密は、一国の安全保障問題では済まないことなの。
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この義母はよく出来た人で、彼が妻を離婚できずにいたのも、一つにはこの義母に、綾子をよろしくお願いします、と会うたびにたのまれていたからであった。それから彼は娘に済まないことをしたと思った。栄進も小さなことに思われた。
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かりに修一郎と和解したところで、それは表面だけの和解だろう、本当に父子が打ちとけて語りあうなど、とうてい出来ないだろう、と理一は考えていた。そして、行助には済まないことをした、というおもいが日ましに深くなっていった。
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僕らはめいめいの藁蒲団を並べて敷いた。僕はみんなと顔をあわせたとき、何となく、済まないことをしたような気持になった。むろん、たいした理由があったわけではないが。
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「まったくそうだ、だからなお寐られなくなる」と兄さんが答えました。「君、寐なければ誰かに済まないことでもあるのか」と私がまた聞きました。兄さんは変な顔をしました。
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もし海援隊のみが相手の場合、紀州藩不利となれば船将の高柳に腹を切らせて、あとは長崎奉行所にまかせる肚だった。だがそうは簡単に済まないことがすぐわかった。薩長土の三大雄藩が後押しについたことがわかり、紀州藩を崖っぷちに追い込みだし、紀州御三家の大藩の権威に慣れた藩吏は、海援隊を守ろうとする海援隊士の必死さに、最初からたじろいだ。
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海に捨てる機会を失したので、焼かうか裂かうかと思ひながら、ついその儘になつてゐたのである。それを、今になつて披いて見ることは、死者に済まないことには違なかつた。
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年の若い正直な彼女は、主人に二十両の損をかけるというのが如何にも済まないことのように思われてならなかった。とても出来ない相談とは知りながら、彼女はどうにかその金の工面は付くまいかと言った。
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だけど若いうち好男子ぶって加奈子を嫌がらせたってから、私あんまり好かないわ。加奈子は若いうち私に済まない事したから私をこんなに大切にするんですって、何を済まないことしたんでしょう。あなた聞いて見て下さい。
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それと同時に、僕は結局、あなたに対して、済まないことをしたのではなかったということを認めてもらいたかったのですよ。