済まないうち
20 の例文
(0.00 秒)
-
多数の部下を率いてのことである。戦さも済まないうちに他人の城に入ってのんびりなどできるものかという気持ちを言ったまでのことであった。
...
-
なにしろ春蚕の済まないうちは、どうすることもできませんでした。糸はでそろいませんし。
...
-
私はこの電話がまだ済まないうちに、いつの間にか窓から三尺ばかり離れて突立っていた。私の両腕は憤怒に唸っていた。
...
-
深夜を回る時間だが、二人とも戦装束に身を包んだままシェラを出迎えた。結婚式が済まないうちに戦争が始まり、あわただしく飛び出してきた二人である。新婚らしい時間を過ごす間もなくお気の毒に、と、そんな考えがふと浮かんで、思わず苦笑した。
...
-
了解も済まないうちに、勝手に信濃に出兵などされては、迷惑である。
-
-
挨拶をしようと思う努力が、すぐ咽喉に障ったと見えて、今まで多少落ち付いていた咳嗽の発作が一度に来た。その咳嗽は一つがまだ済まないうちに、後から後から仕切りなしに出て来るので、傍で見ていても気が退けた。
...
-
翌文政6年、正権はそのさなかに死去した。将軍家への御目見が済まないうちに死去したため、官位はない。なお、家督は従兄の正篤が相続した。
...
-
挨拶も済まないうちに可奈子は奏たちに次の話題を切り出す。まあ、奏たち二人にしてみればもう慣れっこなので、可奈子の方に向き直って話の続きを待った。
...
-
かれが庄五郎の女房お国に惚れていて、あの女に亭主がなければと口走ったのは事実で、それには証人もあり、当人自身も認めている。庄五郎が死んだ後に、従弟同士とはいいながら、彼がなにから何まで身に引き受けて世話をしているばかりか、まだ三十五日も済まないうちにお国の叔母をたずねて行って、お国も今から後家を立て通すわけにも行くまいと云った。そうして、どうせ再縁するならば、気ごころの知れないところへ行くよりも、いっそ親類か同商売の家へ行った方がよかろうなどと云った。
...
-
私がYを初めて見たのは、たしか米騒動のあとでか、まだその騒ぎの済まないうちか、よくは覚えていませんが、なにしろその時分に仲間の家で開かれていた集会の席ででした。その時の印象は、ただ、何となく、今まで集まってきた人達の話しぶりとは一種の違った無遠慮さで、自分が見た騒動の話をしていましたのと、その立ち上がって帰る時に見た、お尻の処にダラリと不恰好にいかにも間のぬけたようにブラ下げた、田舎々々した白縮緬の兵児帯とが私の頭に残っていました。
...
-
亮一は帰宅すると直ぐに、電話で孝子を呼び出したのである。それもまだ着替えの済まないうちだった。出張から帰って、彼が報告を兼ねて孝子に電話することはこれまでもあった。
...
-
ほかの人達も泣きながら見送った。処刑が半分も済まないうち、カプラーは親衛隊員全員にコニャックをふるまった。
...
-
ところが、その男の児はある年の夏、大川へ泳ぎに行って溺死した。それはその児が十四で、お此が十一の年の出来事であったが、それが不運のはじまりで、その後お此と婚礼の約束をしたものは、まだ結納の取りかわせも済まないうちに、どれもみな変死を遂げたのである。それが最初から数えると四人で、しかも最後の男は十九の年に乱心して、自分の家の物置で首をくくって死んだ。
...
-
と、お菊ちゃんへ、注意した。だが、一曲済まないうちは、止めるに止まれないもののように、お菊ちゃんは強情に吹きつづけていた。
...
-
といいながら貴婦人らのほうに近寄って行った。互いの挨拶が済むか済まないうちに、一同は田川夫人によりそってひそひそと私語いた。葉子は静かに機会を待っていた。
...
-
と言いながら貴婦人らの方に近寄って行った。互いの挨拶が済むか済まないうちに、一同は田川夫人によりそってひそひそとささやいた。葉子は静かに機会を待っていた。
...
-
怪我の具合を診るために救急箱も持たずに駆けつけたのは、顔色の悪い少女だった。青白い肌の女の子は、華奢な身体に似合わない軍服姿で、短い挨拶も済まないうちにしゃがみ込み、おれの右足を膝に載せた。もてない人生十六年目の男子高校生は、患部以外の全身も熱くする。
...