海人
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名詞
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道行も一緒だったために、これが新羅の犯行だということが、白日の下にさらされてしまったのである。大海人は、かつて一度だけ会ったことのある道行の顔を思い出していた。いかにも間諜らしく抜け目の無さそうな、捕まえようとしても捕まえ切れないような何かを持つ男だったが、それが一番間の抜けた形で捕まるとは、一体どういうことなのだろう。
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大海人は皇族でありながら、軍の大将ではないという奇妙な立場にいた。日本軍は三軍編成で、前将軍阿曇比羅夫、中将軍巨勢神前臣訳語、後将軍阿倍比羅夫である。
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まず焼け跡を片づけねばならない。海人が府中基地の施設部隊のトラックと重機を提供することを約束した。作業の人手は633部隊とマーケットの十一の民族の自警団があつめ、虹の旗とパンプキン・ガールズは周辺の警備を担当することになった。
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現場に案内して、小隊長の死体を見せた。女中尉は死体の処理の指示を出すと、海人にはもうなにも訊かなかった。海人は分隊にもどり、全員と抱き合った。
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笠の男は、まぎれもなく父であろう。大海人はふと、今も父が自分のことを見守ってくれているような気がした。あたりを見回した。
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「いい妻を持ってよかったと思っている」 大海人が言ったその時だった。帝からの使者が、大海人のもとへやって来た。
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月田姉妹の一人が葉郎と、もう一人が朋幸と、カクテルグラスを手に踊りはじめた。自分の名前が呼ばれたような気がして、海人は店内の方を振り返った。渋い藍色の浴衣に着替えた里里菜が手をあげた。
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「人にごちそうされても、がつがつ食うなとか、ちゃんとお礼を言えとか」 「メグにいわれてます」 「メグって誰だ」 「いもうとです」 「おまえの妹じゃ若いだろ」 「しょうがく四ねんせいになったところです」 スーツの男と老人はまた声をあげて笑った。大人たちが、なにがおかしくて笑ったのか、海人はよくわからなかった。「イカを食ってねえだろ」老人が言った。
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中尉がのそりと椅子から立ちあがると、クリストフの背後にまわり込んだ。右手がワークパンツのポケットからなにかをとり出すのを、海人は見た。プラスチック製の手錠だった。
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中大兄が大海人を九州から呼び返したのは、ある意図があったからだ。「唐使を、都へ招くぞ」 中大兄は、大海人を呼び出すと、いきなり決定を伝えた。
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「うん、その方がいい」雅宇哩が言った。海人はふと、壁に染みのようなものがあるのに気づいて、顔を近づけた。雅宇哩がロウソクの明かりで照らした。
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その力は絶対だ。そして、その力をもって大海人を亡き者にしようとするかもしれない。それが鎌足の危惧であった。
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「カイトにこんなことされるなんて」女の子が言った。まだつながっている彼女の小さな尻と自分の股間へ、海人は視線を移した。わけのわからない感情が胸にせりあがり、ふいに涙がこぼれた。
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二人はレストランの庭を横切って植え込みの陰に消えた。海人は、テーブルについた四人の男女へ、ぼんやりした視線を向けた。たぶん、あのなかに、月田姉妹の昏睡強盗の被害者がいるのだろうと思った。
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彼女は悲しんでいると同時にひどく怒ってもいた。心配かけたくないから海人には教えないでほしい、と姉妹は頼んだ。チベット風餃子と熱い豆腐のチゲがとどいた。
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クリストフはさらに、彼女が従軍したというアフリカ諸国、東欧、ロシア南部を図示した。「せかいがどうなってるのか、わからないよ」海人は困った顔を向けた。
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彼女のまえで欲望を口にしたり、欲望のこもる眼差しを彼女に向けたこともなかった。そんな海人の態度について、里里菜がこんなふうに言ったことがある。
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