気障
全て
名詞
446 の例文
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と書いて、受付へことづけて置いたことを想い出しながら、言った。あんな気障な伝言をたのんで置いた以上行くよりほかに仕様があるまい。「あなたは行かないんですか」 信吉がそうきくと、男は急に笑い出した。
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私は五つまで数えたが、あとはいくつ撲られたのか勘定も出来ぬくらいの意識状態になってしまった。そんな意識状態になったので、その時私の頭に一寸気障な考えが泛んだ。それは、君たちは今俺を撲っていい気になっているだろうが、しかし俺は少なくとも君たちよりは一寸有名な男なんだぞという、鼻持ちならぬ考えであった。
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「いや、V・S・O・Pにしてくれ」 多分、父親の跡を継いで遠からずあの病院の院長になる人なのだろう。高い酒を注文しても気障な感じはなく、私はその先生に好感を持った。「よかったら君も飲んでくれよ」 私はハイと答え、六オンスのタンブラーに自分のを注いだ。
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どちらかというと、竜太もその部類で、昼休みは昼休みで、特別の意味を特たない一時間だった。しかし、竜太にしてみれば、それも精いっぱいの気障のあらわれだった。アノネやニンジンと別れ教室へ帰ると、竜太は頼まれていた恋文を書き始めた。
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豹一に言わせると、寒中アイスクリームを食べるのは気障だというのである。ことに多鶴子のような若い女が人前で食べるのは気障だというのである。学校時代ある夜おそく豹一は友人の赤井と野崎と連立って、京極裏のスター食堂へ行った。
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さきほどまでとなりに座っていた男は、私が原書を読みはじめたら少し厭な顔をしていた。新幹線の中で分厚い原書を読むなど、気障な人間と見られたに違いない。熱いコーヒーを啜りながら頁を捲っていると懐かしい暗号書体をいくつも紹介している章にぶつかった。
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豹一は赤井も気障なことをいう奴だと思ったので、返事をしなかった。
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直立不動の姿勢になる。黒いベンツが車をかき分けて進んできて気障なやくざの目の前で停止した。やくざはベンツの後部座席にかけよった。
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記者の胸の動悸が急に高くなって、又次第に静まって来た。同時に自分でも気障に思われる微笑が腹の底からコミ上げて来た。
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こう、たった今座敷はねえ、おあいにくだと云ったじゃねえか。気障は言わねえ、気障な事は云わねえから、黙って早く燗けて来ねえよ。
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おかげで、私は気障な真似をせずに、彼女と別れることが出来たわけである。今はもうその時の実感を呼び起すだけのナイーヴな神経を失っているし、音楽でも聴かぬ限り、めったと想いだすこともないが、つまらない女から別れ話を持ち出されて、オイオイ泣きだしたのは、あとにもさきにもこの一度きりで、親が死んだ時もこんなにも取り乱さなかった。
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負けました、と佐倉はバットをピンポン台の上におくと、きちんと両足をそろえて加藤に向って頭を下げた。加藤は、それに挨拶をかえしながら、なんと気障な男だろうと思った。試合を始める前には、そんなことはしなかった。
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然し、あとになって、ぽつりと何かを思い出すことがある。気障な言い方をすれば、忘却の海の水面上に出てる岩のようなものだ。それが、途方もないものだの、滑稽なものなら、まだいいが、たいへん気恥しいもののことがある。
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最初に会った時は、全く自分の趣味ではない醜男と思っていたが、中年の入り口にさしかかろうとしている今、月日が彼になかなかの味わいを与えている。縁なしの眼鏡も気障にならず、小さな一重の目を聡明に縁どっていた。「そう悪い男ではないのかもしれない」 小さなグラスでビールを飲み干しながら麻也子は考える。
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自分のヒマラヤ観月旅行に匹敵するものは、女の場合宝石ではないかと、架山は言いたかったのである。だが、相手によっては鼻持ちならぬ気障なものとして受取られかねなかった。架山はある一人の女の言葉を思い出していた。
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恋を語るロミオは、お寒い気障男に見えるんじゃないかと心配になったからだ。だが、誰一人、笑わなかった。
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やがて博士の甥の丈太郎が、警官に護られて、階段の下から姿を現わした。彼は気障ではあるが思いの外キチンとした服装をしている瘠せ型の青年だった。丈太郎は伯父の死体を見ると、ハラハラと泪を滾した。
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