気疎い

全て 形容詞
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  • 気疎けうとい睡気のようなものが私の頭を誘うまで静かな海のやみを見入っていた。 梶井基次郎『冬の蠅』より引用
  • 気疎けうとそうな顔つきで、妻はぼんやりと焦点のさだまらぬ眼つきをしている。 原民喜『美しき死の岸に』より引用
  • その牛のうめき声のような泣き声が気疎けうとく船の上まで聞こえて来た。 有島武郎『或る女』より引用
  • その牛のうめき声のような泣き声が気疎けうとく船の上まで聞こえて来た。 有島武郎『或る女』より引用
  • 何処とも知れず、あの昼には気疎けうとい羽色を持った烏の声が勇ましく聞こえ出す。 有島武郎『小さき者へ・生れ出づる悩み』より引用
  • そのことを自覚して、ルドヴィコはすっかり気疎けうとい気分になっていた。 三雲岳斗『旧宮殿にて』より引用
  • 何処とも知れず、あの昼には気疎けうとい羽色を持ったからすの声が勇ましく聞こえだす。 有島武郎『生まれ出づる悩み』より引用
  • 気疎けうといものが二人の心を占めていた。 松本清張『黒の様式』より引用
  • つるを相手に何を言うも気疎けうとい、と、乙女は黙っていた。 皆川博子『乱世玉響』より引用
  • 水の音がただ絶えず気疎けうとく耳についた。 水野葉舟『土淵村にての日記』より引用
  • けれども仁兵衛にとっては、領主が誰になろうがそう苦にもならないことだし、子供の頃から噂だけで聞いていてひどく遠いもののように考えている江戸で、ここの領主が人を斬ってそのためお家が断絶になったと聞いても何だか作り話のように気疎けうといものに考えられるのだった。 大佛次郎『赤穂浪士(上)』より引用
  • 駄夫は困つて気疎い面魂をして、詮方なしに夕映えのする竹藪の景色を眺めた。 坂口安吾『竹藪の家』より引用
  • ぴしゃぴしゃと気疎けうと草鞋わらじの音を立てて、往来を通る者がたまさかにあるばかりで、この季節のにぎわった様子は何処どこにも見られなかった。 有島武郎『カインの末裔』より引用
  • 蜘蛛の巣を払いのけ、ふらつく足で立ちあがろうとしたが、妙な気疎きょうとさのなかで、自分がどこにいるのか、わからなくなっているのに気づいた。 C・D・シマック『マストドニア』より引用
  • あな、気疎けうとしや、勢はすべてえけり もろもろの「愛」の宝もほろびけり。 上田敏『海潮音・牧羊神』より引用
  • 活気のない顔をして職工がぞろぞろ通ったり、自転車のベルが、海辺の湿っぽい空気を透して、気疎けうとく耳に響いたりした。 徳田秋声『あらくれ』より引用
  • これも日頃気疎けぶたしと思ふ、黄金を亡き者にしたれば、胸にこだはる雲霧の、一時に晴れし故なるべし。 巌谷小波『こがね丸』より引用
  • だるい体を木蔭のベンチに腰かけて、袂から甘納豆あまなっとうつまんではそっと食べていると、池の向うの柳の蔭に人影が夢のように動いて、気疎けうとい楽隊やはやしの音、騒々しい銅鑼どらのようなものの響きが、重い濁った空気を伝わって来た。 徳田秋声『足迹』より引用
  • 雪の日の斯かるけしきを 端近く出でて望めど、 昨日より病のあれば いにしへの世も身に沁まず、 今のことはた気疎けうとくて、 みづからの目に見るものは、 今少し陸奥よりも、 白河の関よりも猶 遥かにて、雪いと白く、 ひた寒き、この世ならざる 国のさかひぞ。 与謝野晶子『晶子詩篇全集拾遺』より引用
  • 直射光線が気疎けうとい回折光線にうつろいはじめる。 梶井基次郎『冬の蠅』より引用