毛頭ない
全て
形容詞
498 の用例
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つまりは美容師さんと別れたくないのです。
安定した生活を捨ててまで、若い女のところに走る気は毛頭ないのです。
美容師さんに追い出された格好の多七さんは、わたしの仲立ちでもどりたいわけでした。
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もりたなるお『金星 相撲小説集』より引用
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サマンサもフェルミも、自分のセヂを持てあましている人間だ。
彼らに差別意識は毛頭ないが、謙遜とは馬鹿のすることだと思っている。
謙遜したからって、セヂが増えるわけでも減るわけでもない。
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池上永一『レキオス』より引用
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兼職のようなものはなかった。
もっとも芸術院会員ではあったが、私は何も皮肉を言うつもりは毛頭ない。
芸術院会員となってからの三好さんが、その詩品に於ても、その人格に於ても、値打を下げたということは考えられないのである。
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福永武彦『第一随筆集 別れの歌』より引用
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しかし、あなたは限りない同情心にみちあふれた方だ。
自分にはそんなところは毛頭ないくせに、人のそういう性質がよくわかる。
どうでしょう、聞いてくれませんか?
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フィルポッツ/井内雄四郎訳『闇からの声』より引用
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それがどんな理由であれ、私に教えてくれるつもりは毛頭ないらしい。
マリーノは乱暴にギアを入れ、車は川の方角、南のバークレー・タウンズへ向かって走りだした。
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パトリシア・コーンウェル『検屍官』より引用
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こうした理由によって、食事のマナーというものが成立したと理解できる。
そうかといって、私は自分の食事のし方が上品だというつもりは毛頭ない。
自分でもそんなふうには思っていない。
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森博嗣『少し変わった子あります』より引用
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短ければ短いほど、それは強い。
これは私の個人的な感じ方であって、それを主張する気は毛頭ない。
少年時代に、はじめてスカートなるものを見た時の印象が、あまりに強烈だったため、それが一種のフェティッシュとして定着したのだろう。
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五木寛之『風に吹かれて』より引用
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麻布十番の電話ボックス、声が硬いね、機嫌を直してくれないか。
相手がどこから電話をしてきているのか知ってどうしようという気は毛頭なかった。
訊いてみたかった、というのでさえない。
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森瑤子『彼と彼女』より引用
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白繚は怒りに燃えていたが、塹甲の強さを見誤るつもりは毛頭なかった。
この化け物は強い。
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ろくごまるに『封仙娘娘追宝録09 刃を砕く復讐者(下)』より引用
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しかし私はこのようなわずかの材料から語原説などを提出する意は毛頭ない。
ただ、一つの興味ある事実を注意するだけである。
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寺田寅彦『火山の名について』より引用
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むろんそんなわかり切った質問をする気は毛頭なかったのである。
むしろ、良い原稿を書くぞという意気込みを含ませて、わざとそう言ったまでのことであった。
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織田作之助『青春の逆説』より引用
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もちろん嬉しかったが、はる子は何んだかすっきりしなかった。
前からラジオを欲しいとは思っていたが、まだ買う気は毛頭なかった。
そのくらいなら、栄吉の冬のオーバーや背広を作る必要があったし、モーニングもそろそろ用意をしておきたかった。
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平岩弓枝『旅路(下)』より引用
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怒りのあまり、リューの青白い頬には笑みがきざまれた。
相手の腕がたつのはわかっていたが、ここまできては逃げるつもりは毛頭ない。
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小沢淳『ムーン・ファイアー・ストーン2 銅の貴公子』より引用
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と言うこと自体に、鉄舟はむろん反対ではない。
外国のものは何でも排斥しようとする神風連式の古い考えは毛頭ない。
だが、西欧文化の表面だけを猿真似する軽薄な風潮には、どうしてもついていけなかった。
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南條範夫『山岡鉄舟(三)』より引用
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こんなことを銃士長に話しかけるコルベールは、この日よほどどうかしているに違いなかった。
ダルタニャンは王がこんな所に泊る意志なぞ毛頭ないことを知っていた。
が彼としては、十分に護衛を整えてでなければ、王をヴォーの行在所へは導きたくなかった。
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アレクサンドル・デュマ/石川登志夫訳『鉄仮面(上)』より引用
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人生は己れの最善をつくせば足るものであるが、東京はこうだ、東京に負けまい、と考えることは二流人の自覚でしかない。
東京の人間は大阪に負けないなどゝ考える必要は毛頭ないのである。
もっとも、アメリカはこうだ、フランスはこうだ、という二流人はいます。
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坂口安吾『安吾の新日本地理』より引用
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戦後になつて、自分が気質的にも、また文学の質に於ても、堀辰雄に似てゐるやうに感じる度に、亜流とみなされてはかなはないと思つて、堀辰雄の弟子だなどと呼ばれないやうになるべく非堀辰雄的な小説を書かうと努めて来た位であつた。
しかしそれは私が堀さんを尊敬しなかつたといふ意味では毛頭ない。
その辺を少し説明する必要があるだらう。
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福永武彦『第六随筆集 秋風日記』より引用
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そのことは認めますよ。
だから、私としても、その問題で弁解したり争ったりする気は毛頭ない。
争えば、あちこちに迷惑がかかる。
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内田康夫『日光殺人事件』より引用
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会社で働くことは嫌いではなかった。
他人に養われるのだけは嫌だったので会社を辞める気は毛頭なかった。
けれどある日、会社に出入りしていた保険勧誘の女性が、勝手に私の生涯プランを立ててもって来た時、その穴がより深く暗いブラックホールのようになるのを感じた。
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山本文緒『日々是作文(ひびこれさくぶん)』より引用
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夫の中には、妻と口喧嘩をして食卓をひっくり返す者が多い。
しかし、圭一はいくら腹が立ってもそんなことをする気持は毛頭ない。
もしもそのようなことをすれば、さぞ溜飲もさがるだろうが、食事を中断しなければならなくなる。
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吉村昭『一家の主』より引用