歩き
全て
動詞
名詞
47,418 の用例
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完成年月日、そして長谷川修司という名が、プレートに浮き彫りになっていた。
台座の周囲を何度か歩き、うしろ向きに歩いて彼は像から離れていった。
そして像に背を向け、来たときとおなじく足早に立ち去った。
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片岡義男『七月の水玉』より引用
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わしは犬をやさしく叩いてやつた。
犬は直に云ふ可らざる満足の容子を示してわし達と一しよに歩き始めた。
以前の牧師の家庭を処理してゐた老婆も亦迎へに出て、わし達を小さな後の客間へ案内してから、わしが猶引続いて彼女を傭つてくれるかどうかと尋ねた。
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ゴーチェ・テオフィル『クラリモンド』より引用
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そして、酔が廻って来ると、彼等がもうあと三年いるべき学校を、口を極めて罵倒した。
もうこれがお別れだと、三人は夜が更けるまで京都の町を歩きまわった。
その挙句、赤井と野崎は宮川町へ行くことになり、豹一は南座の横の暗い道を折れて、二人を送って行った。
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織田作之助『青春の逆説』より引用
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発句を好みまして、これも沢山覚えていました。
これにも少し節をつけて廊下などを歩きながら、歌うように申しました。
自分でも作って芭蕉などと常談云いながら私に聞かせました。
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小泉節子『思い出の記』より引用
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あんなところにいなくてすむように、君といっしょに少し歩きたいんだ。
原田義人『城』より引用
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この踊り場から応接間と寝室数室に通じていて、カニンガム親子の部屋もそこに含まれていた。
ホームズはゆっくりと歩きながら、屋敷の構造に鋭い注意を向けていた。
その表情を察するに、友人は強いにおいをかぎ取っているのだろう。
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三上於菟吉『ライギット・パズル』より引用
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私は理一郎さんと一緒に散歩しました。
畑の間や林のそばを通って街の方へ歩きながら、いろいろ話しました。
私はこの少年の感じやすい純な性質によく触れました。
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倉田百三『青春の息の痕』より引用
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钁鑠として壮者を凌ぎ森林などを駈け歩いても人猿などより敏捷であった。
私も老人の真似をしてよく森林を駈け歩き彼らに負けまいと努力した。
こうして半年が経過した。
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国枝史郎『沙漠の古都』より引用
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このスクナビコナの神のことを申し上げたクエ彦というのは、今いう山田の案山子のことです。
この神は足は歩きませんが、天下のことをすつかり知つている神樣です。
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稗田阿礼『古事記』より引用
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その頃の町中はほんとに静かだった。
よく人形芝居が町を歩き廻り、町角には浄瑠璃語りが人を集めてもいた。
真似々々といって、その頃評判の伊丹屋や右団次の口跡を、芝居でやるその儘の感じを出して上手に真似る人がいた。
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上村松園『京のその頃』より引用
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美和子は真面目にしているのかふざけているのか分らないが、とにかくこのコースは、いかにも恋人同士が選びそうな人目の薄い散歩道である。
こんな所を歩きたがるとすれば、女として彼女を警戒する必要がある。
そう、美沢が思った途端、水銀のように変化の早い彼女はもうそれと悟って、美沢の警戒を柔らげるように、たちまち子供らしく無邪気に振舞うのであった。
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菊池寛『貞操問答』より引用
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三人はお互いに手をしっかりとにぎりあいながら水の中を歩き出した。
海野十三『恐竜島』より引用
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私はこの頃は西行や芭蕉などの行脚や托鉢して歩くような雲水のような心に同感します。
私は西国八十八か所を遍路して歩きたいと思いましたが止められました。
天香さんは勝淳さんと一緒に去年の春西国巡礼をせられました。
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倉田百三『青春の息の痕』より引用
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やがて、ぼくも、機体の外へ出た。
空港の建物から機体にむけてのびてきている廊下を歩き、建物に入った。
雨の日のヒロの香りが、ぼくを包んだ。
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片岡義男『頬よせてホノルル』より引用
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あわただしい、始終追いつめられて、縮こまった生活ばかりして来たという感じが道子を不満にした。
ほーっと大きな吐息をまたついて、彼女は堤防の方に向って歩き出した。
冷たい風が吹き始めた。
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岡本かの子『快走』より引用
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ただ一つ、そのおじいさんの持っていたバイオリンにめぐりあうのに、頼みとするのは、小さな星のような真珠が、握り手のところにはいっていたことです。
少年は、ふるさとに近い町の道具屋は一軒のこらずにきいて歩きました。
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小川未明『海のかなた』より引用
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マデライン嬢も僕の内心に浮かんでいる情緒を大抵は察しているべきはずであって、彼女自身も何とかそれを解決してしまいたいと望んでいるのも無理からぬことであろう。
しかも、僕は暗闇のなかを無鉄砲に歩き出すようには感じていなかった。
もし僕が汝を我にあたえよと申し出すことを、彼女も内ない待ち受けているならば、彼女はあらかじめそれを承諾しそうな気色を示すべきはずである。
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ストックトン・フランシス・リチャード『世界怪談名作集』より引用
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弓子は結論が出たと言わないばかりに腕をほどき、もう歩き出している。
市川陽『放課後のロックンロール・パーティ』より引用
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本当に真の愛と真の反抗と、真の憤りというものが、キリストだけにあって、またキリストと共に死んでしまったものかも分らない。
皆誰でもがキリストの通った道を歩き得るものとは限らないから。
無意味な形の上だけでは歩いていても、その精神をまで継ぎ得たと何んで云えよう。
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小川未明『反キリスト教運動』より引用
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こいつおれの張込んでいるのを覚ったのかと、わたくしも直ぐに起ち上がって表をのぞくと、近所の亀屋の店口からも一人の女が出て来ました。
その女はお園らしいと見ていると、伊八とその女は黙って歩き出しました。
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岡本綺堂『真鬼偽鬼』より引用