権化
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名詞
659 の例文
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夫婦を中心とする家庭の平和のために、妻の連れ子や夫の子と後妻の間の養子手続きを簡略化した法律の配慮が、久代の貪欲を挫き、千恵の幸福を守ったのだ。昨日は非情の権化のように見えた法律に今は頭を下げたい思いであった。いずれ弁護士から得た知恵であろうが、あれほど寛大であった善助がこれだけの処置をしておいたことは、そのまま彼の千恵に対する愛情と、不貞の妻に向けた怒りを物語るものであった。
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離れに住まわされていた王子も、民衆の前に引きずり出された。道楽の権化であるとして、王子の絵画は街の広場で火に掛けられた。本当はそうではなかった。
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そしてけっして口数の多いほうではなかったが、いざ口をきけば、その言葉は驚くほど率直で、また要領を得ていた。彼女の習慣はといえば、彼女は秩序と、規律と、正確との権化であった。几帳面なことにかけては、彼女は時計のように必然的で、機関車のように頑固であった。
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哲学者アンティステネスは偉大な政治家ペリクレスが高徳な生活ではなく快楽に耽る暮らしを選んだと考えて批判している。そのためアスパシアは性的快楽に溺れた暮らしの権化と表現されている。現代文学において重要な地位を占める作品の中にもアスパシアは登場している。
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弱い人間の心を解放し、強い者の権化とも言える虎の姿に変身させる。
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そのひとりは霜ふりの頭髪をむぞうさにたばねた、いかつい顔と体つきをした老婦人であった。その強い視線ときっとむすんだ唇は、意志の権化とでもいいたいほどである。おそれを知らぬ、高慢ちきな表情で、老婦人はあたりを睥睨しながら、しんずしんずと歩みをはこんでくる。
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それは、的中していた。みな殺しにしたところをみると、城主は苛斂誅求の権化かと想像される。
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ドン・フアンは回想録のマドリードの章でもわかるように、カトリックの偏見のきわめて強烈なスペインの男だった。彼にとっては女は人間社会の諸悪の源だ、男を堕落させる蛇の権化だ。ドン・フアンはこういう固定観念にあやつられて、女をこらしめるために女体を踏みにじった。
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もちろん、ピラトには役人のような表情があり、キリストには憐憫の情がある。一方は欲望的生活の権化であり、他方は精神的生活の権化だからである。すべてこうしたことや、そのほか多くの考えが、ミハイロフの頭にひらめいた。
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まさに弓の両端が撓って引絞られた弦を想わせる緊張が彼の肩にも歩き方にも現われていた。彼を見る誰もが青年将校の権化という形容がそのままあてはまるのを思う。機関銃隊の訓練はすさまじかった。
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口からは泡をはいて、種馬のようにいなないた。諸君がそのさまを見たら、きっと色欲の権化そのものと思うかもしれない。どういう方法で快楽をみたしているにせよ、彼の両手は必然的に動き、たえずさまよいつづけていた。
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その金が白鳥にも流れていることはまちがいない。だが、白鳥は金だけではなしに、出世主義の権化みたいな男であった。前にも拓銀関係の不正を握っておいて、ひと思いに検挙し抜擢を受けたことがあったのであるが、佐藤のばあいも、何かとちかづいて佐藤の不正の事実をつかんでゆくにつれ、佐藤とその一味を洗おうとかんがえるようになった。
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本作品では従来作と同様、「悪の権化」という立ち位置になっている。主人公のウルトラマンジード / 朝倉リクがベリアルの遺伝子を受け継ぐに至った理由など、「息子」との関係性の多くは謎に包まれた状態で物語は始まる。
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その個人の力は美より外にはござりませぬ。貴女はその美の権化でござりますもの、権力の源とも申されましょう。女子 そのように私をお信じ下され、褒め讃えて下さる方は他に一人もござりませぬ。
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彼の味方にとっては、ヴィルフォールは強力な庇護者であり、敵にとっては、陰険な、それでいて仮借なき相手であった。敵でも味方でもないものにとっては、法の権化であった。尊大な物腰、感情を表わさぬ顔、どんより曇っていながら、横柄に人を刺すようにじろじろ見る目、これが四つの革命を一つ一つ、巧妙に積み上げて、己が台座を築き不動のものとしたこの男の姿なのであった。
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それだって、ないよりマシだわ。たとえば米本だって、あの子の前では良心の権化みたいになれるってことなの。
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僕は世の中というものを全然知らなかったんだなあ!だが今となっては君にはっきりいうが、あの男は僕にとっては訴訟の権化となっているのだ。この訴訟事件は抽象的なものではないんで、ジョン・ジャーンディスそのものなんだ。
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