構え
全て
動詞
名詞
18,175 の用例
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そろそろ運がむいてきたぞ。
このうちは、なんの商売だか知らねえが、これだけの構えをしてるんだ。
三両ばかりの金は、そこらにころがってるにちげえねえ。
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興津要『古典落語(大尾)』より引用
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しばらくはためらったが、やがて、ずかずかと店の中に這入ると、彼は澄まし切った顔付をして、十三個のチョコレート・シガーを買った。
彼はたしかに何か言い出そうと構えていたのだが、その必要はなかった。
店にいた痩せた、年増の女は、何とはなく物問いたげなヴァランタンの立派な姿に見入っていたが、彼のうしろの入口にいる警部の青色の服に気がつくと、女はよみがえったような眼つきをして言った。
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直木三十五『青玉の十字架』より引用
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まず宮廷の大広間で、候補者たちは、皇帝からいろんな試験をされます。
皇帝が手に一本の棒を構えていると、候補者たちが一人ずつ進んで来ます。
棒の指図にしたがって、人々は、その上を跳び越えたり、潜ったり、前へ行ったり後へ行ったり、そんなことを何度も繰り返すのです。
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原民喜『ガリバー旅行記』より引用
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今、素人と目されたヒヨッ子が、もっとも素人が出しそうな目を出して失敗した。
今度は、古狸と目されている私の親で、皆がそうした構えになっている。
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阿佐田哲也『新麻雀放浪記』より引用
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次から次へ、だあだあと出る水をもって、大調子な構えでもって拵える。
刺身のつくり方は、厚くても薄くてもよくない。
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北大路魯山人『洗いづくりの世界』より引用
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渋谷から六つ目だかの高田の馬場で降りると、菅子のアパートは線路の見える河岸に建っていた。
アパートといっても、板造りの二階建で、もうかなり歴史のある構えだ。
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林芙美子『泣虫小僧』より引用
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池の向う岸には村がある。
端から数えて五番目の構えから、兄のアレクセイが橇に乗って出て来る。
その後ろには大きなフェルトの長靴をはいて、小さな甥のヴァニカが坐っている。
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チェーホフ・アントン『グーセフ』より引用
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ですが面積の小さな島でありながらも、一つの王国を成していましたから、長い歴史が続き立派な文化が栄えました。
尚王が城を構えたのは首里で、その近くの那覇は国の港でありました。
外との往き来が不便でありましたから、凡てのものをこの国で作らねばならなかったでありましょう。
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柳宗悦『手仕事の日本』より引用
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独断で進めてきたといっても、ことさらに何か構えがあったわけではない。
富田倫生『パソコン創世記』より引用
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こう説明を終えた新十郎は驚くべき早さで立ち去る構えに転じていた。
坂口安吾『明治開化 安吾捕物』より引用
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見ると、ヴァランタンは勝ち誇ったように、左側にある家の窓を指さしていた。
それは金ぴかの宮殿のような構えの料理店の正面になった大きな窓だった。
そこは立派な晩餐のための特別席で、『御料理』という看板が出ていた。
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直木三十五『青玉の十字架』より引用
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彼奴のために、また滅茶苦茶にされてしまう!
藤沢はテーブルの横から取り上げた猟銃をすぐ動悸の激しい胸に構えた。
そして銃口を窓から突き出した。
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佐左木俊郎『熊の出る開墾地』より引用
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あっちでもこっちでも家が燃え始めた。
敵は二段構えの砲列を敷き、数千の歩兵に数百の騎兵を投入してきた。
それでもヌースドルフじゃ、敵の大砲六門ぶちこわし、銃剣で突っこんで一門ぶんどったりはしたけどね。
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良知力『向う岸からの世界史 ―一つのの四八年革命史論』より引用
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六百年近い年月の間に磨きあげられ、削りとられた能舞台の動作の型では、一、二歩前に出ることによって決意を示し、逆に一歩退くだけで落胆をあらわしているといわれます。
動きの究極を表現するために、動かぬ「構え」という能の型もあります。
ただじっと一つの位置に立っているだけで、動きをあらわす演技をしている。
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李御寧『「縮み」志向の日本人』より引用
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アパートの半数以上は軍需工場の寮となり、そこにも女子挺身隊の集団が住んでいて、何課の誰さんの愛人だの課長殿の戦時夫人だの重役の二号だの会社を休んで月給だけ貰っている姙娠中の挺身隊だのがいるのである。
中に一人五百円の妾というのが一戸を構えていて羨望の的であった。
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坂口安吾『白痴』より引用
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この夜おとよは下心あって自分から風呂もたててしまいの湯の洗濯にかこつけ、省作を待つのである。
おとよが家の大体をいうと、北を表に県道を前にした屋敷構えである。
南の裏庭広く、物置きや板倉が縦に母屋に続いて、短冊形に長めな地なりだ。
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伊藤左千夫『春の潮』より引用
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五里霧中の中で米友は、始終こうして一人芝居を打っていました。
しかしながら米友は、まだまだこの構えから起き上ることはできません。
四方転びの腰掛をひっくり返したような形をしたままで、いつまでも大道の真中に寝ているのは、他から見ればかなりおかしい形でないことはないけれど、米友自身になってみれば、油汗を流しているのです。
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中里介山『大菩薩峠』より引用
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妻はどうしたのか中々帰って来なかった。
彼は悠然と構えてはいたが、実は一刻も早く妻の顔が見たいのだった。
早く彼女と喜びを分ちたかった。
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甲賀三郎『罠に掛った人』より引用
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机竜之助の刀を突きつけてジリジリと詰め寄るのは、非常に悠長なもので、名人の碁客が一石をおろすほどの静粛と、時間とを置いて、弁信法師に迫っては行くが、まだたしかに両者の距離は三間からあります。
盲目となって以来、この男の刀の構えぶりが、一層静かになってきました。
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中里介山『大菩薩峠』より引用
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店の方では、まだ起きているのでしょうが、なんの物音もきこえず森閑としていました。
家の構えはなかな大きいので、風呂場はずっと奥の方にあります。
長い廊下を渡って行くと、横手の方には夜露のひかる畑がみえて、虫の声がきれぎれに聞える。
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岡本綺堂『指輪一つ』より引用