極めたる

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  • 世間に対する御辞儀はこの野郎がと心中に思いながらも、公然には反比例に丁寧をきわめたる虚偽きょぎの御辞儀でありますと断わりたいくらいに思って、高柳君は頭を下げた。 夏目漱石『野分』より引用
  • 日本の芸術家中泰西の鑑賞家によりてその研究批判の精細をきわめたるもの、画狂人葛飾北斎かつしかほくさいくものはあらざるべし。 永井荷風『江戸芸術論』より引用
  • まして人の身体を五行に配合して、吉凶を説くがごときは、妄誕を極めたるものである。 井上円了『迷信解』より引用
  • 作者の俗言を冷笑するも亦悪辣またあくらつきはめたりと云ふべし。 芥川竜之介『案頭の書』より引用
  • 御父は、醍醐天皇と並んで、延喜・天暦の治と、その治世をたたえられた帝であり、御母は、今言ったように女御芳子であったから、母方の祖父は左大臣師尹であり、父系も母系も立派なものだったのに、御様子はともかく、御心の方は「極めたるしれもの」と言われた方であった。 池田弥三郎『話のたね』より引用
  • ゆえに、相字法も全然排斥すべきにあらざるも、今日民間にて伝うるところの墨色なるものは、妄談を極めたるものにして、文字の墨色をみて、何年何月何日に剣難がある、火難がある、病気が起こる等の予言を与うることに定まっておる。 井上円了『迷信解』より引用
  • 「辻浄瑠璃」巧緻を極めたりしも遂に「風流仏」にかくす可き様もなし。 北村透谷『「油地獄」を読む』より引用
  • たしかに人ありと思いきわめたるランスロットは、やおら身を臥所ふしどに起して、「たぞ」といいつつ戸を半ば引く。 夏目漱石『薤露行』より引用
  • 当日は雲量多かりしため戦闘すこぶる困難を極めたり。 吉田満・原勝洋『ドキュメント戦艦大和』より引用
  • されど我なんじらに告ぐ、栄華を極めたるソロモンだに、その服装よそおいこの花の一つにもかざりき。 野原一夫『太宰治 生涯と文学』より引用
  • その人更に語をぎて「さる騒ぎにまぎれ居る内、行政部附の人は来りて最早約束の期限も過ぎたれば只今この家を立ち退いてくれと言ふや否やわれらの荷物を外に運び出すなど一時は混雑を極めたるなり」とわれは怒気は最早頂上に達せり。 正岡子規『従軍紀事』より引用
  • かくのごとく、相生、相剋の説が不道理を極めたるものなれば、これを人に配合して生剋を見、吉凶を判ずるの不都合なることはもちろん、これを信ずるものは実に愚もまたはなはだしといわねばならぬ。 井上円了『迷信解』より引用
  • 我が劇の鳴物、複雑を極めたるも亦一種の特質なり。 北村透谷『劇詩の前途如何』より引用
  • 聊斎志異れうさいしい剪燈新話せんとうしんわと共に、支那小説中、鬼狐きこを説いて、寒燈為に青からんとする妙を極めたるは、あまねく人の知る所なるべし。 芥川竜之介『骨董羹』より引用
  • 中の一枚とりあげてヘカベー之を獻つる、 そは巧妙を極めたる最美最麗、燦として、 星の如くに耀きて、すべての下に藏めらる。 ホーマー『イーリアス』より引用
  • 眞理の標準を此の如きものと思惟し、藝術の價値を此の如き標準を以つて測るは、一見明瞭を極めたる誤謬と云はなければならない。 阿部次郎『三太郎の日記 第三』より引用
  • けだし魯文翁の如きは徳川時代の戯作者げさくしやの後を襲ぎて、而して此の混沌時代にありて放縦を極めたるものゝみ。 北村透谷『明治文学管見』より引用
  • その折り場内に陳列されたものの中に、旧幕時代に佐竹家より伊達家に嫁せられたその夫人の嫁入道具一切が陳列されてあったが、大小数百点の器物は、ことごとく皆精巧を極めたる同じ模様の金蒔絵であって、色彩燦爛さんらん殆んど目を奪うばかりであった。 穂積陳重『法窓夜話』より引用
  • 乾漆かんしつ十一面観音像と、その繊麗をきはめたる光背を以て有名なり。 会津八一『自註鹿鳴集』より引用
  • 天明寛政の頃はひとり狂歌の全盛を極めたるのみにあらず江戸諸般の文芸美術ことごと燦然さんぜんたる光彩を放ちし時代なり。 永井荷風『江戸芸術論』より引用