格子
全て
名詞
7,016 の例文
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僕は黙って跡に附いて行った。蔀君のさして行く格子窓の下の所には、外の客と様子の変った男がいる。しかも随分込み合っている座敷なのに、その人の周囲は空席になっているので、僕は入口に立っていた時、もうそれが目に附いたのであった。
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何事か起ったのです。私は格子の前に集まっている人々をつきのけて中に入ろうと試みました。私が丁度、入口の格子戸の所に来た時、中から背広を着た男と、巡査らしい制服を着た人とが話しながら出て来ました。
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そしてまたすぐ、じぶんの手先に熱心な眼をむけました。虫が枝から落ちるやうに、力なく小さい太郎は格子からはなれました。そして、ぶらぶらと歩いていきました。
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窓の多くは格子がはめられていたが、全部が全部そうではなかった。これらの格子のある窓のどれかの中に、たぶん、ナルトがいるのだろう。当面の仕事は、どの窓がそれか、つきとめることだ。
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何町か知らないが、狭い横町に曲る。どの家の格子にも女が出ていて、外に立っている男と話をしている。小格子というのであろう。
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今田時雄、ああこれだ、これが昔の友達、時公の家だ。白い石の柱が左右に立って、鉄の飾格子の扉のような門がそれでした。まるで郡役所のような門だなと、留吉は考えました。
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それと共に私の席もだんだん彼に近づいて行った。というのは監房内では古い者程格子扉の傍へ近附くようになるからである。ついに私は半兵衛と向い合って坐るようになり、寝る時は丁度隣り合うようになった。
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これで、床から格子窓までいってもどってくる遊び紐のループができた。光を浴びて輝き、おもしがはずれたおかげでゆらゆら揺れている。
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りよは、河ぶちのしもたや風なバラックの家々を眺めて、家のある人達が羨ましかつた。二階に蒲団を干してあるのが眼について、りよはその家の格子を開けた。
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類人獣についても同じことがいえる。最初わたしは、マスチフ犬が格子の間からこちらを覗いたのかと思った。次に、むしろ気高いまでに醜い、黄褐色の顔の、琥珀色の目の人間に見えた。
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その変に捩くれた万年筆を持った男が、帳簿を繰り繰り、九段にこんな家があるが、どうですね、少々権利があって面倒だが、などと云っている時であった。格子の内に、白い夏服を着、丸顔で髪の黒い一人の外国人が入って来る。そして、貸家が欲しいと云う。
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窓から外をのぞくと、一面の星月夜で、土手下の汽車道は死んだように静かである。それでも竹格子のあいだから鼻を出すくらいにして、暗い所をながめていた。すると停車場の方から提灯をつけた男がレールの上を伝ってこっちへ来る。
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外で、モーウェンナの告発者のエウゼビアが魔女のように泣きわめいた。わたしは彼女に静かにしろというために格子のそばに寄ろうとした。だが、たちまち独房の暗闇に迷ってしまった。
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その日は時間割からいうと、Kよりも私の方が先へ帰るはずになっていました。私は戻って来ると、そのつもりで玄関の格子をがらりと開けたのです。するといないと思っていたKの声がひょいと聞こえました。
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それを意識することは堪えがたかった。おげんは父が座敷牢の格子のところで悲しみ悶えた時の古歌も思出した。それを自分でも廊下で口ずさんで見た。
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そこでレチアは縫いはじめた。縫っている音が、と彼は思った、炉格子にかけた薬缶の音と似ているな。ぶくぶく、ぶつぶつ、いつも忙しそうに、頑丈なその小さな指さきで摘んだりつついたり。
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実際の叫び声はもっとひどいものだったかも知れない。そして私はいつも格子のはまった窓からコモ湖の青い水を眺めて暮らした。対岸には白く塗った別荘が並び、スイス国境はわずか数キロメートルのところであった。
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