根ぶかい

全て 形容詞
20 の用例 (0.00 秒)
  • それは部落民に対する根ぶかい社会的偏見をぬきにしては考えられぬことだ。 島崎藤村『破戒』より引用
  • 信じがたいつかのまの重苦しい静寂が、逆に彼に根ぶかい諦念ていねんを押しつけた。 北杜夫『楡家の人びと (下)』より引用
  • これは日本の歴史はじまって以来、いちばんひどいいちばん根ぶかい混乱と衰弱だろうと思われます。 三好十郎『歩くこと』より引用
  • 石ころにまじった雑草のように、根ぶかくはびこっているからである。 シャーロット・ブロンテ/大井浩二訳『ジェイン・エア(下)』より引用
  • 日本近代精神のこの特徴はまた意味ふかいところで、一つの原因は、少くとも明治に入ってからの若い時代の教育はフランスやドイツのような宗教の根ぶかく残酷な独断に煩わされ毒されていなかったという実際の条件があげられると思う。 宮本百合子『若き精神の成長を描く文学』より引用
  • 大食漢と健康な食欲の間には、ある根ぶかい心理的な相違がかならずあるようにおもう。 ラッセル/日高一輝訳『幸福の獲得について』より引用
  • だが、人間の愚かさは根ぶかいものであることを思えば、おそらくこれからまだ千年も安定することはなかろうから、すでにもういまからこの真理を認識している者はだれでも、この新たな生活原理の上にまったく自分の好きなように生活をうちたてていいわけだ。 ドストエフスキー/北垣信行訳『カラマーゾフの兄弟(3)』より引用
  • わたしのぶかい悪念あくねんは石になってもほろびません。 楠山正雄『殺生石』より引用
  • 人類の良心とともに根ぶかい革命の伝統は、歴史とともに空想的なよりよい社会への願望から科学的な社会発展の原理の把握にまで進んで来て、二十世紀には、地球上に続々とより多数な人間がより人間らしく生きてゆく可能な条件をそなえる民主国家が生れ出た。 宮本百合子『文学と生活』より引用
  • そればかりか、おとな全体に対して、彼女は根ぶかい不信を持ち、次第に厭世えんせい的になっていったのである。 三浦綾子『塩狩峠 道ありき』より引用
  • それはまたあの尊敬すべき母にたいする、もっとも根ぶかい憎悪でもあり、自然の感情にたいするもっとも明らかな反抗でもありました。 サド/澁澤龍彦訳『美徳の不幸』より引用
  • 愚行の三カ年は、ただ私に悪徳の根ぶかい習慣をつけ、またちょっと普通以上に私の背丈を伸ばしただけで、なんの得るところもなく過ぎ去った。 ポー・エドガー・アラン『ウィリアム・ウィルスン』より引用
  • 一日の戦跡周覧の果てに感じている広汎な根ぶかくゆれる抗議、それがどのようにあらわされるのかわからないためにおこっている内部の圧力の高まり。 宮本百合子『道標』より引用
  • 小生はただ貴兄らに何の干渉も許さぬ自由と、また彼女には最も根ぶかい憎悪と最も確かな軽侮しか負ってはおりません。 サド/澁澤龍彦訳『恋のかけひき』より引用
  • 伸子が素子と暮すようになった五年このかた、素子と多計代との間には双方からの根ぶかい折りあいのわるさがあったから、佐々のものがフランスへ来るからと云って、伸子は、素子にも迎えに行ってほしいとは誘いかねた。 宮本百合子『道標』より引用
  • けれども、弁護士の注意を強くきつけて離さないのは、肉体の衰弱すいじゃくがこんなに急激きゅうげきに出てきたことよりも、何かしらこころのなかに根ぶかい恐怖きょうふがこびりついている証拠しょうことしか思えぬ、その眼つきや挙動であった。 スティーヴンスン『ジーキル博士とハイド氏』より引用
  • また、すでにそうした伝承心理が一般のあいだに根ぶかくあったとすれば、その心理を兵法に利用して、士気を振るわすなどのことは、兵家の常套手段でもあった。 吉川英治『私本太平記』より引用
  • 現代になっても、こんなに根ぶかく、血なまぐさくユダヤに対する偏見がのこっていることは、ヨーロッパ文明の暗さとしか伸子に思えなかった。 宮本百合子『道標』より引用
  • が、あらゆる人種、あらゆる宗教、あらゆる文明に属する人間が、あのきびしいアメリカの処女地に再会したとき、かれらはその結合の紐帯ちゅうたいとして、かつてヨーロッパ諸国を相互に結びあわせていたあの根ぶかい思いでや頑固な習慣を、どこにも見いだせなかった。 ヘミングウェー/福田恆存訳『老人と海』より引用
  • それだけで、鍋ものという共食原理が、非常に根ぶかい〝身内みうち〟共同体意識の連帯感から発生し、維持されてきた事実の、何よりの証拠ではないかとかんがえられる。 荻昌弘『男のだいどこ』より引用