柔和な笑み
39 の例文
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絢子ちゃんが救われるまで、一緒にがんばりましょう。真奈美は柔和な笑みを浮かべて良樹の両手を取り、首を横に振った。そして、長い数珠を首に提げた「伯母」なる人物を連れてきた。
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「綾さんのええ御供養にならはりましたな」 「ありがとうございました」 両親が頭を下げた。住職は細かな皺の寄った顔に柔和な笑みを浮かべて、集まってきた者を眺めた。玲に目を向けたとたん、住職の顔から表情が消えた。
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共に歴史の中で多くの事柄に深く関わってきた二人の老人は、それぞれ柔和な笑みを浮かべている。
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逆に鍵が掛かっていれば主不在の証だし、盟主の執務中は執務室への出入りは事実上自由だ。保安上問題があるのではないかと進言したことがあるが、その時は柔和な笑みと共に無視された。それが、今日に限って錠を下ろしている。
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銃弾を撃ち込まれた所の傷が開き、乾き始めた赤黒い染みに重なるように、再び赤い液体が広がり出しているのだ。それでも、彼は近くにいる少年を見つけると、柔和な笑みを浮かべる。
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細面のその顔に、深い皺が刻まれている。その老人が、口元に、柔和な笑みを浮かべて、四人を眺めていた。ふたつの松明の灯りが、下から、その老人を照らしている。
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村田と名乗った男も、無気味なところがある。柔和な笑みをたたえていながら、どうかしたはずみに、凄い目をすることがある。内川も佐多も、村田を知らない様子だった。
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細川藤孝にも与一郎兄弟にも静かな微笑を見せていた。「お玉どのは、和歌を好まれるか」 柔和な笑みを浮かべた藤孝が尋ねた。藤孝と玉子とは、これまで幾度か顔を合わせている。
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柔和な笑みをたたえた端正な顔には、人に疑いを抱かせるものは微塵も感じられなかった。だが俺には、ザザが実際に予想しているよりも遥かに楽観的に物事を話していると判っていた。
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女がふたたび柔和な笑みを浮かべ、うなずいた。「鶴笛ですわ」 彼女はその名を告げると、笛を白いブラウスの胸ポケットにおさめ、西洋人に一礼した。
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中学生くらいだろう、草食動物を思わせる黒目がちの瞳が僕を見つめ、にっこりと微笑む。思わずつられて微笑み返してしまうような柔和な笑みだ。よく見ると手元に置いてあるのは植物辞典で、どうやら坂の脇に生えている雑草の名前を調べているらしい。
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強姦したいといい出さなけりゃいいが、美人にはちがいないにしてもこの高慢ちきな面はどうだ、ぜんぜんそそられないじゃないか。「あんたがやってみたいことと、この作家と関係があるのかな」ここでひと口お茶でもすすれば申し分がない間ができる、そう思いながら老人は柔和な笑みを浮かべた。
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良樹は出勤時、バスターミナルに向かう彼女と鉢合わせになることがある。真奈美の素朴で柔和な笑みは、いつも良樹に安らぎを与えてくれる。本人は「お人好しな面相って言われるんです」と気恥ずかしそうに笑うが、今朝の良樹には、やさしく微笑む彼女が聖母か菩薩に見えた。
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それほど高位の官ではないのである。六太が半分、呆れた気分で見上げると、朱衡はたいそう柔和な笑みを浮かべた。
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右手には、機械でできた怪しげな爪のような装飾をつけている。少年は風貌に似合わない、柔和な笑みを浮かべていた。
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彼が見ているのは、壇上で柔和な笑みを浮かべる親船や、その声を聞いて拍手をしている子供達ではない。広場から少し離れた所に、特殊車両が停まっているのを確認する。
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さぞコワモテの輩かと思えば、目の前の青白くひょろっとした青年は柔和な笑みを浮かべている。「青山正明」という名前だった。
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