柔和なまなざし
9 の例文
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後宮俊夫は、じっと舛崎外彦を注視した。柔和なまなざし、ひょうひょうとした身のこなしが、俊夫の心を捉えた。マックナイト宣教師も、天使を思わせる柔和さがあったが、舛崎外彦には何の構えもない軽妙さがあった。
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老紳士は、そのかもめの言葉に、耳を傾けるように何度も小さくうなずいていたが、やがて顔を上げて正面から、かもめの笑いを受けとめた。いぜんとして柔和なまなざしが、かれのあらゆる意志をおおいかくしていた。
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「何や、母さん」 ためゑは店にいた。店先に白いあご鬚を生やした品のいい老人が、柔和なまなざしでためゑと何やら話をしていた。「高崎先生のお宅に、お醤油をお届けしなさい」 「はい」 保郎は高崎先生にぺこりと頭を下げ、醤油の瓶を手に持った。
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あたしは横目でちらりと李酔竜を見た。柔和なまなざしだが、しかし、鋭い光を放つ黒い瞳のカンフーは、無言で小さく顎を引いた。
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濃い眉の下に、柔和なまなざしがほほえんでいる。がっしりしていながら体躯にいかつさがなく、見るからにきまじめな、篤実な印象をまとった五十がらみの別当なのだ。
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柔和なまなざしが葉子に向けられた。
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静かに、端座して、膝で手を組み、穏かな春の陽光を、ひとりたのしむもののように、黙して語らない。柔和なまなざしは、そそがれるともなく、きらきらと陽光をはねる泉面へ投じられたまま、うごかない。
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宇田竺道は前に坐って給仕をする慈念に眼をとめた。「慈念やないか」 竺道は柔和なまなざしをなげていった。
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