柔和そう
23 の例文
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おろしたてのように白い半袖シャツを着て、しみひとつない白のスニーカーをはいた、粟谷中の夏服姿の小柄な男子。厚い前髪の下の細い目が柔和そうで、笑みをたたえているようにも見える。男子にしては色白で、腕力があるようにはとても見えない。
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眼鏡の下の柔和そうな眼に、ほのかに厭わしそうな色が浮かんでいる。
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唯一の男孫だったが、甘やかされた記憶はまったくない。祖母は顎がふっくらして柔和そうなのに、目つきだけが変に鋭かった。山の上の観音様にそっくりの顔立ちだった。
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左知枝はトミーの右側に置かれた、二つの写真に目を移した。ひとりはカウボーイのような帽子をかぶった面長の男で、柔和そうな表情をしていた。もうひとりは写真のフォーカスが甘くて、集合写真から無理やり引き伸ばしたようなポートレートになっていたから、いまひとつ顔の特徴が読めなかったが、太り気味で髪の毛が少し長く、タータンチェックのシャツを首元を開けて着ていて、髪と同じ明るい色の胸毛を覗かせているのだった。
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「まあね」女じゃないんですか。からかう口調になっても、植松はいつも柔和そうな顔をしている。ドカベンに微笑という名字の奴が出てきて、地顔が笑っているのだが、そんな風だ。
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赤んぼは、小さな黒い手で、剃りたての坊さんの頭をしきりとたたいている。目の切長な、いかにも柔和そうな、はつめいな顔をした坊さんである。その若い坊さんに、わたくしはたどたどしい日本語で、ことばをかけてみた。
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ポーリン探偵の助手はニック・カーターである。この人はポーリン探偵より背が高く、やや柔和そうにみえた。我々はポーリン探偵の笑い顔を想像することは困難であつたが、ニック・カーターはすぐに笑つたりじようだんをいつたりしそうであつた。
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彼は柔和そうに細めた目で執拗にジュスランの表情を探ったが、得るところは何もなかった。バルアミーがジュスランの代理としてエルマン伯を中央宇宙港まで送っていった。
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柔和そうな老人の声は、市の図書館から。
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柔和そうに見えるが、本来は短気な男のようだ。くどくどした説明よりも結論をまず聞きたがるタイプだ。
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善く見ると目が大きく柔和そうな顔だ。
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柔和そうな表情を浮かべてはいるが、メルセリア侯爵の目には、メリッサを値踏みしているような視線があった。侯爵はラムリアース王国の名門貴族の当主であり、その知謀と武勇は先の内乱でフレアホーン皇太子を勝利に導いたことで、十分に立証されている。
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その支那人やインド人やはみな泥棒みたいな商人ばかりでいやだったが、道で働いている労働者の支那人やインド人は土人と同じような実に見すぼらしいものだった。ことにインド人が、あの真黒なちょっと恐そうな目つきをしていながら、そばへ寄って見ると実に柔和そうないい顔をしているのには、なおさらに心をひかれた。この支那人やインド人や土人の苦力どもは、まるで犬か馬かのように、その痩せ細った裸のからだを棒でぶたれたり靴で蹴られたりしながら、働いているのだ。
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陽気に帽子を傾ける。柔和そうな中年男で、汗を流しながら、乾いた地面を横切って、ポーチにやってきた。
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色あおざめた柔和そうな表情の女たち、元気で快活な子供たち、そして気づかわしげな眼差しで熱心にのぞきこむ男たちの姿があった。放浪者の一人が幼い少女であり、他の一人がやせ衰えた男であると知ったとき、とりまいた多くの人々の間から、驚きと同情の叫び声がどっとわきおこった。
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そうやって遊んでいるのは基一郎の三番目の娘桃子で、今日は日曜で学校は休みなのである。相手をしているのは下田の婆やで、肥満した、いかにも柔和そうな、自分の子供を犠牲にしても主家の子女を大事にする、一昔まえの典型的な乳母といってよい女なのだ。かつて下田ナオは東京帝国大学附属病院の看護婦養成所を優秀な成績で卒業した。
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柔和そうな表情の持ち主ではあるが、くっきりと描かれた眉のラインや、口紅の濃さからは、いかにもやり手の女将といった印象を受ける。校長とは、背が低いところと、目が細いところくらいしか似ていない。
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