未だ聞かざる
6 の例文
(0.00 秒)
-
満廷どよめき渡った。公判廷に於て証人が証言を堂々と拒絶するとは未だ聞かざる所である。神戸牧師の言葉に意外の感を起した宮木裁判長は直ちに荘重な声を一段大きくして云った。
...
-
即ち戸外の義士は家内の好主人たるの実を見るべし。いかなる場合にも放蕩無情、家を知らざるの軽薄児が、能く私権のために節を守りて義を全うしたるの例は、我輩の未だ聞かざる所なり。
...
-
然れども是れ親王の事にして、帝王の迹にあらず。我が国上古より山陵を起さざるは、未だ聞かざる所なり。
...
-
一同みな商人に身をやつして、ティグリス河のほうに向い、小舟に乗って、水の流れのまま、あてどなく舟をやりました。それというのは、ジャアファルは、教王が不眠におかかりになってお心憂わしげなのを拝し、鬱を散じるには、未だ見ざるものを見、未だ聞かざるものを聞き、未だ踏まざる地を訪れるよりも、効あるはござりませぬと、言上したからでございました。さて、しばらく時がたって、ちょうど小舟が河を見おろす一軒家の窓の下を通りかかりますと、その家のなかに、琵琶で伴奏しながら、次の詩句を歌う美しく物悲しい声が、聞こえたのでありました。
...
-
公家の文化にもこういった恥の概念、人の目を意識する価値観はあったのだろうが、公武権力の一体化が推進され、自分より高位の公家達がいる世界へ入って行く、室町時代の武士のほうが、人の目に対する緊張感が強かったのかもしれない。管領であった斯波義将が正四位下、右衛門督に叙任されたとき「武臣の右衛門督、未だ聞かざる事也」と噂になったという。伊勢貞親の家訓にも、人の目、他人の評判を気にする価値観がある。
...
-