未だ曾
7 の例文
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彼の吐く理論的言語は未だ曾つてまとまつたことを一度も吐いたことがない。論理はスースーと歯の間からぬけるのである。
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それも、ある甲斐のないものを甲斐あらせようとしてゐるやうな、一所懸命な調子であつた。私は未だ曾つて人工呼吸法といふものを見たことがなかつたけれど、今ふとそれが頭に浮んだ。私は一寸、このままひつ返さうかひつ返すまいかと戸口で迷つた。
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考えてみると、大抵の古寺記は殆ど昼の印象である。そういう自分もこの秋はじめて薬師寺の塔を仰いだ以外には、未だ曾つて夜の寺を歩いたことはなかった。昼でなければ古寺を訪れてはいけないというわけはなかろう。
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わたしはこの話を祖母のアルフェーリエヴァからも聞き、また未だ曾つて嘘をついた例しのない老人として有名な、イヴァン・イヴァーノヴィチ・アンドローソフという商人からも聞いた。この商人はじきじきその眼で「猛犬どもが坊さんたちの衣をずたずたに裂く」有様を見ながら、「罪障をわが魂に着る」ことによって、からくも伯爵の魔手をのがれたのである。
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これこそ本当の傑作として、こんなに迄讃へられた日本映画は未だ曾つて一寸その例がない位である。洋画禁輸以来、伸びなければならない邦画まで質的にぐつと低下して、良い映画を見たいファンの欲望は、秋のシーズンが来ると共に愈々切実である時『路傍の石』は断乎としてこれに答へるが如く公開された。
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肥満人新居格氏よ、 身をもつて思想上では 無節操と自由とを 混同することをもつて一生を終れ、 あなたは真の貧者の求めてゐる自由の 思想に対しては 撫でるか引つ掻くかの 二つより選んだためしがない。未だ曾つて握手したためしがない。
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