有体
全て
名詞
134 の例文
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少なくとももっと淡泊でした。私は証拠のない事を云うと思われるのが厭だから、有体に事実を申します。だから兄さんも淡泊に私の質問に答えて下さい。
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なお、この商品とは有体的商品の販売額を指し、不動産などは含まれない。また、消費税も金額に含まれている。
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病気のためにも病床の慰みにも将た又死後の計の足しにもならないこういう高価の大辞典を瀕死の間際に買うというは世間に余り聞かない咄で、著述家としての尊い心持を最後の息を引取る瞬間までも忘れなかった紅葉の最後の逸事として後世に伝うるを値いしておる。有体にいうと、私は紅葉の著作には世間が騒ぐほどに感服していなかった。その生活や態度や人物にも慊らなく思う事が多かった。
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御奉行から直々の命令だ。有体にいえば、御奉行ももっと上の方から云いつけられているのではないかな?
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彼らにだけ特有な内外の曲折を経過して来た彼らは、他人より少し複雑な眼をもって、半年前に成立したこの新らしい関係を眺めなければならなかった。有体にいうと、お延と結婚する前の津田は一人の女を愛していた。そうしてその女を愛させるように仕向けたものは吉川夫人であった。
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有体に言えば今のお絹は、男が欲しくて欲しくてたまらないのであります。男でさえあれば、どんな男でも相手にするというほどに荒んでくることが、このごろでもたえず起って来るようでありました。
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どうやらお前の方が善人らしい。さう有体に白状した上はお前の罪は消えてしまつた。
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猫のほうが本体となれば、一体化というより、有体に同化かな。まったく強敵だよ。
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実を云うと私は著者の実際家らしい識見に啓発される処が甚だ大きいのだが、夫と同時に右に述べたような疑点が却って鮮かに私の眼の前に浮び出して来ることを禁じ得ない。なお付録の四つの文章は有体に云ってあまり共感出来ないものだ。
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カレーは果して少しも辛くなく、有体にいって食べられるものではなかった。私は大半を残し、女房が少しそれを味見して、やはり、まずい、と言った。
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だが、これには私も二の足を踏んだね。有体に言うが、この上に寝るんだと言って出された蓆を見ると、さすがにいい気持はしなかった。だが結局、肩をすくめながらも、うんと言っちまった。
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一枚でも多く持つて、これからお婿さんと一緒に新規な生活を始めなければ成らなかつた。有体に言へば、妹のことなどは関つて居られなかつた。
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要するに、学生であれ、若い人であれ、無責任であり、自分と他人とに甘えすぎている。そして、有体にいって、現実の社会はもっときびしいのである。若い時代の身勝手な甘えは、きっとのちになってその人に悪くはね返ってくるだろう。
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彼はいざという場合、もともと熱心ではなかった医者稼業をさらりとやめて農場を経営しようという目算を立てていたのだ。もっと有体にいえば、彼はこの戦争の成行きを以前から彼なりに絶望的に感じとっていた。滅多にないほど落第を繰返し人並はずれて悠々と送ってきたその人生が、彼にこの時代には稀有となっていたもの、即ち常識を、残し保有させていたのである。
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しかし、その莫大な金額は彼を不安にし、ほとんどおびえさせた。有体にいって、徹吉は松原の病院を売った分前も受けていてかなりの金持ではあったのだが。決して無駄使いをしないように、と書いてやると、折返して龍子から返事がきた。
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それにしても様子が変であった。有体に云えば、客を迎えるというより偶然客に出喰わしたというのが、この時の彼女の態度を評するには適当な言葉であった。しかし不思議な事に、この態度は、しかつめらしく彼の着席を待ち受ける座蒲団や、二人の間を堰くためにわざと真中に置かれたように見える角火鉢ほど彼の気色に障らなかった。
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福地桜痴、末松謙澄などという人も創業時代の開拓者であるが、これらは鍬を入れてホジクリ返しただけで、真に力作して人跡未踏の処女地を立派な沃野長田たらしめたのは坪内君である。有体にいうと、坪内君の最初の作『書生気質』は傑作でも何でもない。愚作であると公言しても坪内君は決して腹を立てまい。
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