最期を見届け
45 の例文
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病室にいる道子を意味もなく呼びだしたりする男がいる。道子にすれば、父の最期を見届けたいという思いがあったかもしれない。父の生死とは全く関係のない親類の娘が、ベッドの傍に突っ立っていたりする。
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頭をかきむしり、窓に近づいた。隆正の最期を見届けたいと思いつつ、それを待っているようで辛かった。外はすでに明るくなり始めていた。
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だから切嗣は、土蔵の静寂を前にして立ちつくしたその瞬間に、既に心のどこかで観念していた。きっとまた自分は、ここで誰かの最期を見届けることになるのだと。キャレコ短機関銃を腰だめに構えつつ、そっと足音を殺して、鉄扉の破られた土蔵の中に踏み込む。
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が、やや経って重右衛門は、 「わしが先に死んではおられぬ」 と、眉を上げた。すべての水主たちの最期を見届けぬうちに死ぬことは、無責任に思われた。かすかな希望が、重右衛門の胸のうちに甦った。
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結果は見えたようなもの。私は岩本先生の最期を見届けるべく、視線は外さないようにしました。川口君が雄たけびをあげました。
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そればかりか、他の人々にも、船に乗って故郷へ帰れと勧めたい、と申すのです。けしてあなたたちが聳り立つイリオス城の最期を見届けられはすまい。それというのも、はるかにとどろくゼウス神は、イリオス城を大変心におかけになって、敵軍の士気もあがっている、とこういうのです。
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その式は終わった、客は涙をおさえかね、最後の訣別をして室を出て行く。彼に最も親密な者がただ一人、あとに残って最期を見届けてくれるようにと頼まれる。そこで利休は茶会の服を脱いで、だいじにたたんで畳の上におく、それでその時まで隠れていた清浄無垢な白い死に装束があらわれる。
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荷台にはタイリースの姿があり、降伏しなければ彼の命はないと告げる。どうすることもできず、斬首されるタイリースの最期を見届ける一同。ミショーンは生きていて、軍勢に合流したガバナーに襲いかかるが果たせず、再び茂みの中に消える。
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まだ続くかも知れない。僕も講義だけは欠かすわけにいかんが、なるだけ最期を見届けたいと思つてね。浦 それやさうですとも、無二のご親友の間柄で、死目にも会はれんといふのでは、残念ですからな。
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朝めしに狙いをつけた怪物からそう簡単に逃げ出せるとは思わなかったが、これで少くとも一人で死なずにすむ。人間の目が私の最期を見届けてくれるのだ。心細い気安めだとは思うが、そう考えることによってわずかながら平静を得たのだった。
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朝食としてわたしに白羽の矢を立てた怪物から簡単に逃げおおせるとは思いもよらぬことだったが、少なくとも一人ぼっちでは死なずにすんだ。わたしの最期を見届けてくれる人間がいるのだ。それは淡い慰めではあったが、そう考えることによって、わずかながらも意を安んじたのである。
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「若君、討ち死に」 悲痛な声が、長宗我部陣にあがった。信親の最期を見届けた伝令が、元親のもとへ達したのである。元親は、馬上で配を握りしめ、血を流さんばかりに、唇を噛んだ。
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ヤマトの戦う姿に動かされたテレサは、自らの全ての力を使って超巨大戦艦へと突撃し、ともに消滅する。テレサの最期を見届けた古代たちは、生きて美しい地球を作っていくことを誓い、地球へ帰還した。最終話で、真田、佐渡を含む16名が救命艇で地球へ帰還するが、古代は救命艇の発進直前に艇から飛び降りヤマトに残り、また、森雪もヤマトに残っていた。
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が、その最期を見届けた者から、 その模様を聞きおよびました。その者の言うところによりますと、 彼コーダはいとも率直にその反逆の大罪を認め、 陛下のお許しを懇願したてまつり、そして心からなる 懺悔をいたしましたる由。
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が、彼女の視線はあらぬ方を見ていた。シプダールの最期を見届けていたことは明らかである。「ダイアン」わたしは口を開いた。
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それでも楽は、その戦いを見にいくことにした。それがどんなにあっけない幕切れになろうとも、焔の最期を見届ける者がひとりくらいはいてもいいと思ったからである。案の定、あまりにも馬鹿馬鹿しい挑戦であると誰もが思ったのか、螺旋階段の洞には自分以外の一匹の猫の姿もなかった。
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つづいて三発目を撃ったが、この時二頭の馬が仁王立ちになったかと思うと、やにわに矢のように疾走しはじめたので、果たしてそれが命中したかどうかはわからなかった。馬車が駆け出したがために、相手の最期を見届けることができなかったのは残念だったが、たしかに命中した第二発目に満足して、謙三はそのまま闇の中に姿を隠した。そしてその翌日、予定どおり横浜から外遊の途についたのである。
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