最期
全て
名詞
5,910 の例文
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それは父にしてみれば亡き妻への供養でもあったし、とにかく死ぬその日まで母が誰にもまして信頼しつづけた医師団に父は謝意を表明したつもりであった。そして父自身も最期を母と同じ放射線科で迎えることになったのである。わたしと瓔子は、母の看病に没頭していた姉妹として当時の医局に再び迎えられ、顔なじみの医師や看護婦に、帰って来た仲間のように特別の親しみを持って扱われた。
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だが俺は親父の遺言通り、トレボー城塞に行ってみる決意を固めていた。結局親父は、最期の瞬間まで俺の運命とやらを気にかけていたのだろう。俺自身がそれを見定めなくては、両親の魂に申し訳が立たない。
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蛇に銜えられた鳥の体は半分以上口の中に這入っている。蛇は体を截られつつも、最期の瞬間まで鳥を呑もうとしていたのである。小僧は岡田の顔を見て、「蛇を取りましょうか」と云った。
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貴方は貴方よ、アンリマユ。貴方はすぐに忘れてしまうだろうけど、わたしは最期まで覚えているわ。
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最期がどんなご様子だったのか、何ひとつ教えてもらってはいないのです。娘として、これほど寂しいことはございません。
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クネヒトの誕生や素姓について何も知らないように、われわれは彼の最期についても何も知らない。しかし、その最期は偶然なものであったろうと推定する理由は少しもない。知られているかぎりでは、彼の一生ははっきりした段階をなして築かれている。
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良助がひざまずいてそのからだをあらためると、大弐の首は皮一枚を残してたいらかな切口を見せていた。いささかのお苦しみもなかったろう、まことに御立派な御最期であった。そう思った良助は、大弐のからだにむかって合掌しながら、われ知らず念仏を唱えていた。
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君主のためならば自身のことは忘れるべきだ。堀田らしい、最期まで自分は己を犠牲にしているのだと訴える歌だった。
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病室にいる道子を意味もなく呼びだしたりする男がいる。道子にすれば、父の最期を見届けたいという思いがあったかもしれない。父の生死とは全く関係のない親類の娘が、ベッドの傍に突っ立っていたりする。
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だから水を飲んだ。わたし自身が水を飲まぬと決めていたら、それが最期となっていたはずだ。諦観は最大の敵。
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涙は引いていた。まるでひと晩かけて、友と最期の語らいを終わらせたような気分だった。光國は馬首を返し、小石川邸へ戻った。
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最初の岡本連隊長は右の通り、次の長野大佐も負傷、その次の森田大佐も着任間もなく戦死、最後の連隊長代理東中佐は、後述するように、この八月三十日戦死を遂げる。同三十日 歩七一 歩七一の戦闘も実質的にはこの日が最期である。前掲の歩七一通信中隊長上田忠則の『従軍手帳抜萃』は戦闘詳報と酷似している部分があるので、両者を照合しながら平行的に引用して戦闘状況を再現することにする。
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死の際に見た幻、絶えず胸の裡にあった、唯一の誇りに他ならない。この光景をこそ武器にして戦い続けた英雄は、最期に、自らの闇に落ちる。辿り着いた剣の丘。
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彼は北条一族の生き残りであった。鎌倉最期の日に逃れ出て安房に隠れてこの日を待っていた人であった。名越式部大輔の出撃論には多くの人が賛成した。
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この瞬間が最期になるなら、俺の命が燃え尽きてももう悔いはなかった。
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胸の隅に刺さった棘のような異物。その違和感が何であるか、彼は最期の時まで理解できなかったのだが。半年も続くまいと想定していた生活は、その実、五年間続く事になる。
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ダバルプスは最期に、どうあっても俺たちを道連れにするつもりなのだ。
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