暫く措き

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  • 眼の見えた以前の人は暫くき、眼が見えなくなってから後の人の面影が知りたい。 中里介山『大菩薩峠』より引用
  • 高祖こうそは暫くくとするも、仁君文帝も名君景帝も、この君に比べれば、やはり小さい。 中島敦『李陵・山月記』より引用
  • 少時日光で五百城文哉先生の門にあつた頃のことを暫く措く。 木村荘八『小杉放庵』より引用
  • 現代の日本は暫くいても、十四世紀の後半において、日本の西南部は、大抵天主教てんしゅきょうを奉じていた。 芥川竜之介『さまよえる猶太人』より引用
  • 小忌々敷こえめえましいからばしてやつたに」卯平うへいしばらいて又少またすここゑちかられていつた。 長塚節『土』より引用
  • その三人を読み終えると、それぞれからまた別の糸に引かされて、私は更に広い読書世界へ出て行ったが、龍之介と鏡花とは暫く措くとして、荷風が私を導いて行った先は、その師の森鴎外だから順序が逆さまと言わなければならない。 福永武彦『第五随筆集 書物の心』より引用
  • 銭湯と待合政治の件は、暫く措き、私は、自分の仕事と関係のある芝居の現状について、世の識者に訴へたいと思ふ。 岸田国士『新劇のために』より引用
  • しかしこれら根本論は暫くき、原始的国法に「家界」なる制度があって、それが国際法の領海制度に酷似しているのは、甚だ面白い現象である。 穂積陳重『法窓夜話』より引用
  • まず出土状況の異同であるが、これは発掘と埋納を繰り返した事に起因する伝承の混乱であると見て暫く措くとして、その他の疑点を挙げると以下のようになる。
  • 馬の足の話は、いろんな形で、各地に、云い伝えられているものらしいが、その研究は暫く措いて、私はこれに似た事柄を、現実に、而も人間について、経験したことがある。 豊島与志雄『奇怪な話』より引用
  • かく小説と云ふ文芸上の形式は「最も」か否かを暫くき、「構成的美観」に富んでゐるであらう。 芥川竜之介『文芸的な、余りに文芸的な』より引用
  • しかしそのことに関しては暫く措く。 外村繁『落日の光景』より引用
  • ですから風車のことは暫くき、いま、自分がこうして現に立っているところの地点が、日本の歴史と地理の上に、由々ゆゆしい時代を劃した地点であるというようなことには、いっこう頓着がないのです。 中里介山『大菩薩峠』より引用
  • が、そういう空想史蹟は暫く措いて、単なる地理的興味から見て頗る味わうべきものがしばしばある。 内田魯庵『八犬伝談余』より引用
  • ここで荷風の作品は暫く措くとして、当の潤一郎の作風も、「細雪」に至ってほぼ同じ境地に達したのではないか。 福永武彦『第三随筆集 枕頭の書』より引用
  • 伝記の考究はしばらき、今その板画を見るに北寿は直接に和蘭陀画の影響を受け西洋風の遠近法と設色法と時には光線をも木板摺もくはんずりの上に転化応用せんと企てたる画工なり。 永井荷風『江戸芸術論』より引用
  • さりながら、その出所しゅっしょのいずくなるをしばらくとするも、とにかく『海底軍艦』などの科学小説がその頃現れ、読者の血を湧したことは厳然げんぜんたる事実であって、押川春浪氏の名をわが科学小説史の上に落とすことは出来ない。 海野十三『『地球盗難』の作者の言葉』より引用
  • けれどもここでは、そうした詮索は暫く措いて、同じく便宜上、普通に行われている定式に従い、第一の自覚をグリゴロービッチの手紙を契機とするものとして考えてみる。 チェーホフ/中村白葉訳『チェーホフ短編集「燈火」』より引用
  • 此のお話はしばらきまして、是から信濃国しなのゝくにの上田ざい中の条に居ります、渡邊祖五郎と姉の娘お竹で、お竹は大病たいびょうで、田舎へ来ては勝手が変り、何かにつけて心配勝ち、なきだに病身のお竹、遂に癪の病を引出しました。 鈴木行三『菊模様皿山奇談』より引用
  • 僕は「河童」の批評に於いては、藝術的價値の如何は暫く措き、その特殊な價値のみに就いて論じたいと思ふ。 堀辰雄『芥川竜之介論』より引用