星暦四四
17 の例文
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星暦二二九年が、そのはじまりである。星暦四四六年、タイタニアの時代は揺るぎなくなおつづいているかに見える。この当時の無地藩王は、八代目の当主アジュマーン・タイタニアである。
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彼はタイタニアであり、そうありつづけるために宇宙の存在を必要としていたのである。星暦四四六年は動乱と混沌のうちに過去へ歩み去ろうとしている。タイタニア一族とバルガシュ共和国、双方の艦隊が実際に正面から激突するのは、新年の鐘が鳴りひびくなかであろうかと思われた。
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こうして、ついにタイタニア一族とバルガシュ政府との間に干戈が交えられるに至ったのである。星暦四四六年一〇月のことであって、歴史上、両者の武力衝突は、これが最初の例となった。ザーリッシュ・タイタニアの厚い胸郭の奥に、後悔の火花が散らなかったとはいえない。
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「宇宙でもっとも英雄的な失業者」ファン・ヒューリック氏は、惑星エーメンタールの中央宇宙港におり、安レストランで、ひとりさびしく食事をしていた。星暦四四六年五月二九日のことである。にんじん色の髪にネッカチーフを巻きつけ、カーキ色のコンビネーションスーツを着て肩にジャンパーをはおり、足もとにザックを置いている。
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そしてこの場合、知識と予測こそが一段と彼らの畏怖をさそうのであった。星暦四四六年八月一〇日のことである。ヴァルダナ星間帝国の首都惑星リュテッヒ、その中緯度落葉樹林帯にカルビニアという湖沼地域があり、そこには宇宙を支配するタイタニア一族の荘園群があった。
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星暦四四七年二月一日から三日にかけて、タイタニア軍は海面上と海面下における索敵行動をつづけた。これほどの大軍が海中に潜航すれば、バルガシュの海全体が容積を増してアルキメデスの浴槽と化すだろう、という冗談がささやかれた。
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星暦四四六年一二月に始まったバルガシュ共和国とヴァルダナ帝国との戦争を、翌年二月に人々はそう呼ぶようになった。一滴の血も流されなかったわけではなく、占拠に先だつタイタニア軍の苛烈な地上軍事拠点攻撃によって万単位の死者が出ている。
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星暦四四六年五月一七日。タイタニア一族の会議は、愛情と親和に欠けた雰囲気のなかで開かれた。
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藩王の心事は、まことに測りがたい。星暦四四七年四月一五日。宇宙を支配する疑惑と不安と動揺とのただなかにおいて、ジュスラン・タイタニア公爵は惑星バルガシュに到着した。
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星暦四四七年の二月から三月にかけて、タイタニア一族の本拠地である「天の城」は、いささか節度を欠く噂の中心地となった。アリアバートの辞任は、第一報からむしろ時間を経過するにしたがって波紋をひろげ、中堅幹部は中堅幹部どうし、兵士は兵士どうし、噂の洪水のなかで泳ぎまわることになったのだ。
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星暦四四六年の二月から一二月にかけて、惑星バルガシュの政界は過去に例のすくない困惑と混乱にみまわれた。タイタニアと全面戦争の危機に直面したのである。
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陰謀と策略、殺人と破壊の暗赤色のページが延々とつづき、精神的に胃腸の弱い人間は読了に耐えぬ。したがってタイタニアの構成員が陰謀に対して免疫がないはずはないのだが、星暦四四七年のその時期には、彼らのほぼ全員が困惑し、冷静さを欠いていた。別の表現を用いるなら、藩王アジュマーンの治世は、これまでほぼ完全安定し、揺るがぬように見えていたのだった。
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バルガシュ軍を相手としてアリアバート・タイタニア公爵が壮大な武勲を樹てそこねたことに、イドリス・タイタニア公爵は辛辣で非寛容な歓びを感じていた。だが、特等席で見物を決めこんでいた彼が、にわかに舞台に引きずりあげられて深刻な演技を強制されるに至ったのは、星暦四四七年一月一七日、「天の城」最高会議室においてのことである。この日、惑星ティロンのバルアミー卿から奇怪な報告が伝えられたのであった。
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星暦四四七年、タイタニア一族のアリアバート公爵は大小一万九七〇〇隻の艦艇を率いて、バルガシュ政府を倒す征旅に就いた。主眼は、辺境地域において占めてきたバルガシュ政府の特権的地位を奪うことにあったが、彼の胸中は、同じタイタニア四公爵の一員・ザーリッシュが同政府に殺害された報復に燃えていた。
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星暦四四七年五月一九日、イドリス・タイタニアがアリアバートとジュスランとに与えた出頭期限の前日であった。
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星暦二二九年、ブラウンワルト星域の会戦で星間都市連盟を破ったタイタニア一族はヴァルダナ帝国から「無地藩王」の称号を得た。だが「タイタニアなくして帝国なし」と名実ともに宇宙の覇王を公言する彼らは、星暦四四六年、八代目アジュマーンの時代を迎えた時、連盟の都市エウリアに出した最新の化学式半透膜の技術の売却要求を拒否されたことに端を発したケルベロス会戦で、一族のアリアバートが敗北の屈辱を喫した。奇蹟の勝利をエウリアにもたらしたのは、ファン・ヒューリック。
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