早晩
全て
名詞
副詞
646 の用例
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一人で行けと云つたのは、勝手にしろと云ふ意味ぢやなかつたんです。
日本を見たいと云ふあなたの御望みは、早晩実現させなければならない。
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岸田国士『古い玩具(一幕六場)』より引用
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独占しているなら五〇%はほしいというのに、今はたったの二〇%でしかない。
これでは株主に突き上げられなくても早晩何とかしようと思ったはずだ。
うちだけが独占し、死体から化学物質を抽出する設備もそれを操作する技師もうちの社員である。
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林亮介『和風Wizardry純情派 1』より引用
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ことに日本人にとっては日本語の母音や子音の組成、また特有な音色をもった三味線や尺八の音の特異な因子を研究するのはずいぶん興味のある事に相違ない。
私はこの種の研究が早晩日本の学者の手で遂行される事を望んでいる。
私が初めて平円盤蓄音機に出会ったのは、瀬戸内海通いの汽船の客室であったように記憶する。
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寺田寅彦『蓄音機』より引用
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どこに行ったのかわからない妻のことを考えてみる。
早晩こうなったかもしれない、と思いだしたのは最近になってからだ。
ヘンなのはあいつだと決めつけていたが、俺に何もないとわかって愛想を尽かしたのかもしれない。
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池上永一『あたしのマブイ見ませんでしたか』より引用
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現在でもいゝプロレタリア文学を造らなければならない。
それは私といふ人間が早晩死ぬだらうが、現在はこの通り生きてゐる。
それは非常に見識の高い人間から見れば私は生きてゐるやうでその実中味は死んでゐるといはれるかも知れないが、ともあれなんといつても私はこの通り生きてゐるやうに、一つの過渡期における産物、将来の足場同様のプロレタリア文学といつても、現在われわれの胸を打つ力のあるものでなければならない。
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芥川竜之介『プロレタリア文学論』より引用
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宮村の方では加藤が八分どおり同行するものと思いこんでいるようであったが、加藤の方から、はっきりと同行の意思表示はしてなかった。
だが、早晩そのことをはっきりしなければならないことになっていた。
二人でパーティーを組む以上、二人で日程やコースを相談しなければならなかった。
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新田次郎『孤高の人』より引用
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彼女は、それらの小説を読むと、彼を失望させないために、ほめた。
彼は、早晩有名な作家になりたいと思っていたので、非常にそれを喜んだ。
彼は、田舎というものを見たことはごく稀で、ただ知人の別荘に滞在したときや、裁判上の用件でウォロコラームスクへ赴いたときなどに、生れて初めて地主の荘園に住んだことがあるきりだったのに、その小説の中では、田舎や、地主の荘園だけを書いていた。
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チェーホフ/中村白葉訳『チェーホフ短編集「無名氏の話」』より引用
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と、陰口を叩いたりした。
番組自体も早晩、転ぶか消えてしまうだろうという揶揄も含まれていた。
しかし、これが結構、面白いのだ。
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難波利三『小説吉本興業』より引用
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もしこの布団が勧められたまま、主なくして春風の吹くに任せてあったなら、鈴木君はわざと謙遜の意を表して、主人がさあどうぞと云うまでは堅い畳の上で我慢していたかも知れない。
しかし早晩自分の所有すべき布団の上に挨拶もなく乗ったものは誰であろう。
人間なら譲る事もあろうが猫とは怪しからん。
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夏目漱石『吾輩は猫である』より引用
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しかも、その加納辰哉は最近ここのマダムの一柳悦子を愛している。
ふたりの顔色や素振りからみると、早晩結婚するのではないかと思われる。
いや、もうふたりのあいだには約束ができているのかもしれない。
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横溝正史『扉の影の女 v0.9』より引用
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茲に於てか、自然、大西洋横断所要日数の短縮が、主な汽船会社の激烈な競争となりつつある矢先だった。
今から思うと、早晩この種の椿事を約束する運命だったと言っていい。
前夜十三日の真夜中から、タイタニックの航路に当って、即かず離れず一つの尨大な氷山が流れて来ていたのだ。
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牧逸馬『運命のSOS』より引用
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ナベカムリ目は殻の組成によって分類されてきたが、上述の分子系統解析は殻の組成が系統を反映しないことを示唆している。
したがってナベカムリ目内部の系統関係も早晩見直されることになろう。
なかでもコクリオポディウムは、細胞表面に有機的な鱗片()を持つことから、原始的な有殻アメーバと考えられ伝統的にナベカムリ目に含められてきた。
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もしこの布団が勧められたまま、主なくして春風の吹くに任せてあったなら、鈴木君はわざと謙遜の意を表して、主人がさあどうぞと言うまでは堅い畳の上で我慢していたかもしれない。
しかし早晩自分の所有すべき布団の上に挨拶もなく乗ったものはだれであろう。
人間なら譲ることもあろうが猫とはけしからん。
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夏目漱石『吾輩は猫である』より引用
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そして私も早晩そうなると思うと、彼が先駆けしたのを羨しくも思った。
そんな事で今度はさほど悲しみの感じも長く跡へは残らなかった。
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内藤鳴雪『鳴雪自叙伝』より引用
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あれは「自殺」で、ただ私はそれに手を貸しただけだ。
ああいう男は、早晩、何か間違いをして、身を滅して行くに決っている。
私はそれを少し早くしただけだ。
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赤川次郎『恋愛届を忘れずに』より引用
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しかしこの雑音は送音管部のみならず盤や針や振動膜やすべての部分の研究改良によって除去し得ないほどの困難とは思われない。
早晩そういう改良が外国のどこかで行なわれるだろうと予期される。
もう一つの蓄音機の欠点は、レコードの長さに制限があって長い曲が途中で中断せられる事である。
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寺田寅彦『蓄音機』より引用
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これは表向きには出来ないことだ。
殊にお絹という女は人を殺した下手人として、早晩命はないはずである。
いわば、今生の別れに奉行の情けが働いたのである。
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松本清張『鬼火の町 新装版』より引用
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相槌を打ちながら私は危機感を覚えた。
これほど噂が広まっているということは、早晩上の人間の耳にも入るだろう。
張本人が藤田だと判明すれば、会社側は本人に確認する。
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東野圭吾『殺人の門』より引用
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昨日新道において認められたる事実は、実にこれを証するに余りあるものとす。
吾人は遺憾ながらかくの如き事実の早晩現出すべきを予言したる事あり。
曩日一外人ありて帝都に生きたるを携え来たり、新道において公衆に示す事とせり。
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森鴎外訳『諸国物語(下)』より引用
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そして、敵地にいる彼女から、こうして私に、こんな命令的な呼出しが来るのは、何だか当然至極のことのように思えた。
私は、それを早晩来べきものとして、予期していたような気さえした。
間もなく、羅馬の雑沓が私のタキシの左右に後退していた。
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谷譲次『踊る地平線』より引用