手を下す
216 の例文
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自殺ということもありえない。あの傷の状態からして、自分で手を下したとはまったく考えられない。スラック警部の証言はみじかくて慎重だった。
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が、突然、彼の言葉が伝わり出す。微笑を収め、指した手を下し、私の眼を覗いて見つめながら彼はいった。
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自身は殆どその自ら手を下したる事実を記憶せざるべきは当然と見るを得べし。
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実際、あんたは自分で何も手を下していないんだから堂々としていなさい。
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しつかりしろ、マーカス、気違ひは俺一人で沢山だ。己が命に自ら手を下す様な真似がどうしてこれに出来ると言ふのだ!ああ、なぜ手の事などわざわざ口にするのだ、イーニアスに二度も語らせようといふのか、愛する祖国トロイが燃え落ち、惨めな境遇に陥つた己れの運命を?
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それはどっちかっていうと式を打つっていうヤツ。自分の手を下さず、目的に適した他者に命令して行動させる事じゃない。私が言っているのは“状況”の話。
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ところが、予想していなかった事態が起きた。彼が手を下すより先に、志津はアパートの自室で自殺してしまったのだ。いや、志津が自殺などするわけがないのは、彼が一番よく知っていた。
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できるかどうかは分からないが、敏夫に近づけそうな人物の家を巡って、在宅しているふうなのはこの家だけだったのだから仕方がない。敏夫の母親という線も考えたが、あいにく、誰かが先に手を下していた。辰巳は目を開けた松村の手の中に、拳銃を押し込んだ。
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政権崩壊後の1992年に、1978年に15歳の少年の射殺にかかわったとされた容疑で逮捕拘束された。彼は殺人の現場にはいたが直接手を下していないと主張した。これを受けて国際オリンピック委員会をはじめとしたスポーツ関係者が公正な裁判と釈放を求める運動をおこなった。
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まあとにかく秀聡は、久しぶりに人間を殺すので興奮していた。自分で手を下さず、人に殺させても、それはそれで興奮するのだった。
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俺の子をほんとに殺したのはこの男だ、俺が手を下したのはまちがいない。
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何十年も生きていれば、人間なら誰しもひとりやふたり、殺したいほど憎い相手がいたとしてもおかしくない。ただ、殺してやりたいと思うことはあっても、実際に手を下す人間は稀だ。そこまでの勇気がない、腕がない、運がない、理由はさまざまだろう。
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良人が兇器をもって不自然に死んだ妻の傍に立っていた。だから良人が手を下したのではないかという疑いは一応誰しも持つであろう。実際は誤った自殺であった。
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そこで実際に手を下した後藤さんを、親の仇のように憎むようになった。
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森を失った悲しみは、ディードリットも同じだから。自ら手を下しただけに、心の傷は彼ら以上に大きいとさえいえる。しかし、森が再生することを信じるからこそ、明るく振る舞うこともできるのだ。
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お茶にも花にも、なかなか深い心得がありました。名人というものはああいう人をいうんでしょうが、自分では手を下さない。座敷にすわってて、もうあれが終った時分だからこれをやれ、ってな具合に指図をするだけですが、それがピタリ。
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咳と咳とのあいだに、ヒーッと痰のからまる音が、身を切るように切なくて、しかもあのなんともいえぬいやな臭気は、いよいよ強く、梅雨時のしめった空気のなかに立ちこめた。しかし、だれも手を下して、兄を介抱しようというものはいなかった。双生児の小梅様と小竹様は、ちんまりと正面きったまま、兄のほうへは眼もくれなかった。
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