情緒纏綿

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  • こうした情緒纏綿てんめんたる手紙が春一に数通送られています。 浜尾四郎『死者の権利』より引用
  • こう書くと情緒纏綿てんめんのようであるが、遊びのひとつもしているくせに愛人の前ではいつも固くなりすぎて機会があったのにプラトニックに終始、そのためかえって別れてしまうようなこととなったくらいだから、この時も彼女のお母さんと三人連れで、じつはあまり大したことではない。 正岡容『わが寄席青春録』より引用
  • その姿かたちはこの世の人間と少しもかわらないばかりか、情緒纏綿たる絶世の美女であることが多い。 駒田信二『中国怪奇物語〈幽霊編〉』より引用
  • 多くは甚内自作の歌詞で、情緒纏綿てんめん率直であるのが、江戸の人気に投じたのであった。 国枝史郎『名人地獄』より引用
  • 源氏が須磨に籠居ろうきよして女気のない生活に沈みこんでいる時、数多い愛人達は文を寄せてその孤独を慰めるが、その中でもみちのく紙に何枚となく書きつづけた最も情緒纏綿てんめんする長文の主は御息所であった。 円地文子『源氏物語私見』より引用
  • だからといって、俗にいうスラヴ的な、重苦しい情緒纏綿てんめんとした音楽としてではなくて、むしろその逆に、かたくななくらい意志的であろうとする意志に支えられた音楽として提示される。 吉田秀和『世界の指揮者』より引用
  • やがて新中国建国の後は、国情とは合わず廃れてしまったものの、何十年もの長い時間を経て、夜来香の甘い香りに寄せた情緒纏綿としたこの歌は、鄧麗君の歌声で復活した。
  • 民謡というと、情緒纏綿てんめんというふうに受けとられがちであるが、現実は、三味線の曲弾きに近いものが、つまり、客に拍手を強要する感じのものが多いのではあるまいか。 山口瞳『酔いどれ紀行』より引用
  • いずれも情歌の作品には情緒纏綿てんめんという連中だったが、茶屋酒どころか、いかがわしい場所へ足を入れるものはほとんすくなかった。 喜多村緑郎『「明治のおもかげ」序にかえて』より引用
  • 劇画のほうはさておいても、「純和風」の情緒纏綿てんめんたる筆で描かれた責絵は、一部のファンのあいだで長らく伝説になっていたほどの素晴らしさである。 鹿島茂『オール・アバウト・セックス』より引用
  • 新内節は一時期、歌舞伎にも用いられたことがあるが、江戸時代後期からは主として門付けを中心として行われ、豊後節の艶麗な部分を引継いで情緒纏綿たる世界をつくりあげてゆくのである。
  • 博士が封を切って中を読んでみると、巻紙の上には情緒纏綿じょうちょてんめんたる美辞びじつらなって居り、せつ貴郎あなたのおでを待つと結んで、最後に大博士王水険じょうと初めて差出人の名が出て来た。 海野十三『戦時旅行鞄』より引用
  • レコードは児島シスターズという三人娘が歌っているカモメレコードのもので、「活動写真」というこの曲は他にも姥桜うばざくら但馬いと子が情緒纏綿てんめんと歌っているヌーベルレコードのものと、同じ会社から出た美藝公穂高小四郎自身が歌っているサウンド・トラック版がある。 筒井康隆/横尾忠則『美藝公』より引用
  • 深い郷愁と哀調が漲っている二人の唄にあわせて、酒を飲んでいないのに酔ったような表情になった志功は、番傘を開いてそれをさし、いびられている嫁のおもい入れで、片手と首をくにゃくにゃと動かしながら、情緒纏綿てんめんとした風情で踊りをおどって見せた。 長部日出『鬼が来た 棟方志功伝(上)』より引用
  • エノケンや二村定一にもいえるけれども、この時代の舞台芸人は、オペレッタ志向のようなものがあって、情緒纏綿てんめんとした流行歌手の唄い方とはまたひとつちがう。 色川武大『なつかしい芸人たち』より引用
  • 吉原を中心に街頭を一枚一挺で流す新内節は、その情緒纏綿たる語り口、遊女の心情をきめこまかに描いた曲の内容から、江戸情緒を代表する庶民的な音楽として知られるところである。
  • 大体しかし、毛というものは情緒纏綿てんめんたるもので、また、一面、人によっては妄想をそそられ、ワイセツ心が泉のごとく湧いたりする。 田辺聖子『イブのおくれ毛 Ⅰ』より引用
  • 彼女には情緒纏綿たる可憐なソナタをベートーヴェンは捧げたが、この作品は『熱情』の四年後に作られ、「ぼくの気に入っているソナタです」とベートーヴェンは言ったそうである。 五味康祐『西方の音』より引用
  • てめえはな、前代未聞の恐ろしき殺人が演じられた現場から、ほど遠からぬところにおいて、おなじころ、眉目みめうるわしき男と女のあいだに、世にも情緒纏綿てんめんたる濡れ場が演じられていたのであアると、そう書いときゃいいんだ。 横溝正史『金田一耕助ファイル08 迷路荘の惨劇 v0.9』より引用
  • わたくしはまた更に為永春水の小説「辰巳園たつみのその」に、丹次郎が久しく別れてゐた其情婦仇吉を深川のかくれ家にたづね、旧歓をかたり合ふ中、日はくれて雪がふり出し、帰らうにも帰られなくなるといふ、情緒纏綿とした、その一章を思出す。 永井荷風『雪の日』より引用
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